第39話
『図体ばかり大きい魔物を叩きます』
奇妙な装飾の施された杖を持つ『
声と共に、少し唖然としていたレヴェナントにそう言い終えるのと同時に――――
轟という爆音と共に強烈な炎が、2匹のオーガを包み込んだ
その場所で赤光が四散し、黒煙を捲き上げ燃焼音が響く
断末魔と共に、肉の焼ける嫌な臭いも漂う
紅蓮の炎の合間を一匹のオーガが憤怒の雄叫びを上げつつ掻い潜った
全身に火傷を負い、焼け爛れている
しかし、よく観察すれば焼け爛れる火傷がまるで時間を戻すように
奇麗さっぱりと消え始めている事に気付く
オーガが地響きを立て駆ける
その足は地を割り、踏み締める度に大地には亀裂が生じた
―――その右側を低い姿勢で、何かがひゅっとが駆け抜けた
視覚で捉えることが出来なかったオーガだったものが、その場に崩れ落ちる
オーガに背中を見せていたのは、陣羽織を羽織った『
右手に日本刀を握って立っていた
オーガには『斬られた』という感触もなかったはずだ
ただ、真横を風が通り抜けた音だけだった事だろう
両脚、両肩、両腕、胴体が斬り刻まれた様にバラバラにされている
あまりにも速すぎる陣羽織を羽織った『
オーガは、何がどうなっのかもわからずに絶命したのだ
「―――」
レヴェナントは何かを言おうとしたが言葉が出なかった
『何か言おうとしているのはわかっているにゃ
それよりも討伐証拠を集めなくていいのかにゃ?』
黒猫はレヴェナントを見ながら喋る
「ああ、そうだった!」
レヴェナントは、黒猫の言葉に我に返ると、まず血の海に沈んでいる
ゴブリンの耳を斬り裂いて回収していく
『―――――魔獣の部位やゴブリンロードの討伐証拠は回収しないのかにゃ?』
レヴェナントがわざとらしく避けるようにしている様子を見て取った
黒猫が喋る
「さすがに駄目だ にゃんこさん
駆け出しで最底辺『青銅』等級が、いきなり『白金』以上の等級が
討伐できる魔物を『冒険者ギルド』に持っていたらどうなると思う?」
レヴェナントが適当にゴブリンの耳を回収しながら言う
『学習したのかにゃ?』
黒猫が喋る
「さすがに
これが俺のいた『世界』・・・まぁ日本だけど、ラノベやネット小説みたいな
感じで討伐証拠持っていったら、凄い面倒な
それと、このゴブリンの数とゴブリンロードもだ」
レヴェナントが言う
『持っていけば、それなりに収入にはなってもかにゃ?』
黒猫が喋る
「収入にはなっても、やはり最底辺『青銅』等級では目立ちすぎる
ここは別の方面で面倒で嫌だけど、地道に一つ一つ実績を積んで
行かないと」
本当に面倒なのか、不機嫌な声で告げつつ、耳剥ぎ取りを適当な所で終える
『・・・所でだにゃ』
黒猫が喋る
「知らない」
レヴェナントは、その質問に被せる様に応える
『あの魔獣に』
黒猫が喋る
「何も見てない」
レヴェナントが再び被せる様に応える
『 戦利品の『カード』が』
黒猫が喋る
「見たくない」
レヴェナントが、さらに被せる様に応える
『・・・・』
黒猫は無言でレヴェナントに視線を向ける
レヴェナントは、ほんのしばらく黒猫と見つめ合っていたが、根負けしたのか
しぶしぶ、血の海に沈んでいる1匹の魔獣の死骸の前に立つ
そしてその場に立つとしゃがみ込み、左手首まで傷口を突っ込んだ
露骨に嫌な表情を浮かべ、何かぶつぶつ言いながら、死骸から何かを引っ張り
出した
左手には、虹色に輝く一枚のカードが握られていた
「――『プラチナカード』だと・・・・?」
レヴェナントは、虹色に輝く一枚のカードに視線を向けながら、驚愕の
表情で呟く
『おめでとうにゃ
『レア』確定だにゃ』
黒猫が喋った
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