第26話
大きな石造りの『冒険者ギルド』の建物を出ると、レヴェナントは
少し急ぎ足で歩き始めた
ヒリヒリとした空気が漂い冒険者が集う区画から一般大通りに、再び戻った時
ねっとりした気配を感じ取った
少し立ち止まりつつ、鋭い視線でひどく混雑する通りを見渡した
大通りでは若い冒険者グループ、年寄りの行商人団体、大勢の一般
買い物客がそこかしこにいた
ねっとりした気配の元凶を警戒するレヴェナントは、門の所には
行かずに、ねっとりした気配がする北門と南門の中央付近にある飲食店が
立ち並ぶ方へ足を向けた
レヴェナントの眼は、油断なくあたりに注がれると、ある一定の場所で
視線を止めた
「 さすが『
あんな厄介な魔物まで出現率をあげるのか」
レヴェナントが呟く
『無視するかどうかは、レヴェナントが決めるにゃよ』
黒猫の声が頭の中で響く
レヴェナントの視線の先には、三人組の冒険者が映っていた
質素な白いシャツと黒いズボンと言った軽装だ
死人のように白肌以外は、特に変わった事はない
黒猫は欠伸をすると、レヴェナントの肩から飛び降りた
同時に人混みの中をゆっくりと歩いていく
三人組の冒険者は、ヘラヘラした笑みを浮かべつつすぐ近くまで
やってきたレヴェナントの姿と気配を察知すると、それまで楽し気な
会話らしいものを突然やめた
視線をゆっくりとレヴェナントに向けた
懐から野盗から奪った資金から銅貨一枚を取り出すと、三人組の一人に
向けて銅貨を指先で軽弾いた
弾かれ飛んできた銅貨を右手で素早く受け止めた一人が不快な表情を
浮かべ何か言おうとする
「泥臭く獣臭いのを漂わせてりゃあ、わかる者はわかるんだよ
――――三途の川の渡し賃代わりだ」
ヘラヘラした笑みを浮かべつつそう告げ終えたレヴェナントは、一瞬で無表情
になった
別の一人が、レヴェナントの言った意味をしばらく思考した様に貌を顰めた
時間的には数秒―――突然地面を蹴る
鬼の様な形相を浮かべ、眼にも止まらない電光石火でレヴェナントに肉迫した
右手に鋭い鉤爪のように曲がった鋭い針が五本ほど伸びている
したためか、心臓が跳ね上がるのをレヴェナントは感じた
鋭い鉤爪がひゅうと風を切ってレヴェナントの貌を掠める
強烈な衝撃だ
相手も無言、レヴェナント無言だ
行き来する者達は、突然始まった闘いに誰一人気づいてもいなかった
次に左側に回り込んでいた冒険者が、鋭い鉤爪で流れるような突きを
放ってきた
精緻を極めた連続攻撃だ
レヴェナントは軽やかに流れるような突きを幾度か避けると、何度目かの突き
攻撃中に、相手の手首を掴んで身体を沈めた
弧を描いて、レヴェナントの頭上を冒険者が飛んだ
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