第19話


「そう言う事はもっと早く言ってよ、にゃんこさん」

 レヴェナントは、何処か不満げな表情を浮かべつつ囁くように言う

『そもそも姿、それこそが

 ぐらいはすでに理解しているはずにゃよ』

 黒猫の声がレヴェナントの頭の中で響く

「それは―――」

 レヴェナントは何かを言いそうになったが、不満げな表情を浮かべたまま

 言うのをやめる

 何となくだが、がついたのか特に言葉には出さない



『それよりも、どうやら終わった見たいにゃよ』

 黒猫の声がレヴェナントの頭の中で響いて促されると、視線を

 両開きの押し戸になっている出入り口へと向けた

 そこでは鼻や顎、両手の指をへし折られた3人組の冒険者が、両脇を抱えられて引きずり出されていた

 引きずりながら連行しているのは制服からして都市警備隊ではなく、『冒険者ギルド』職員の様だった

 意識を失っている様子を確認すると、おそらくだが全員を無力化された様子だ



「 『冒険者ギルド』の花形である受付嬢は、な女性であると

 誰が決めたんだろうね

 実際見てみれば、それが現実じゃないって事を知ることになるのに」

 レヴェナントが囁く様に告げる

『35回も受付嬢達に返り討ちにあった者が言うと、その言葉に深みがあるにゃ』

 黒猫の声がレヴェナントの頭の中で響く

「35回連続で交際を断れると、俺も心が折れたよ」

 レヴェナントが囁く様に告げる

『35回連続死に戻りリスタートしたにゃ

 交際を申し込んではいないにゃね』

 黒猫の声がレヴェナントの頭の中で響く



「博物学、地理学、魔物生態知識など幅広く要求される

 超難関職を務める女性を口説くには、中々ハードルが高いと

 実感したよ」

 レヴェナントが囁く様に告げる

 黒猫の指摘に関しては無視しているようだ

『冒険者と職員以上の関係には発展はしてなかったにゃ

 気の合う女性友人ぐらいの関係にゃ』

 黒猫の声がレヴェナントの頭の中で響く


「いやいや、口説いて振られ続けてたよ」

 レヴェナントが囁く様に告げる

『記憶違いにゃよ

 36回目からは冒険者登録している同業者で独身の男性冒険者と、

 出会いが少ない受付嬢達との婚活のセッティングとかで奔走していたにゃ』

 黒猫の声がレヴェナントの頭の中で響く

「そりゃあ、武力でも知力でも勝てないとなりゃあ・・・

 婚活という甘い罠を張り巡らして、戦力を激減でもさせなきゃ

 闘ってられないよ」

 レヴェナントが囁く様に告げる

『はいはいにゃ・・・』

 黒猫の声がレヴェナントの頭の中で響くが、若干呆れている様な声だ

「なにその信じてない声は」

 男性が囁く様に告げると、建物に向かって歩き出した




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