第6話
再び魔法陣の円が青白く光り輝き、部屋の空間にちりちりと焦げるような電流が
空間一帯に広がると、空気を震わせる
同時に男性の鼻は、オゾンの臭いを嗅ぎ取った
それは今までの
違和感だ
「いつものの演出より派手なような」
男性は短く呟く
だが、その声は少しばかり震えていた
緊張しているのか、額に小さな水滴が伝って落ちる
『さすがにこの演出は、『気のせいにゃ』とは答えられないにゃ
6,190回の『レア』を引き当てた演出は見たにゃけど・・・』
男性の呟きが聞こえたのか、 黒猫はそう喋る
強く真っ直な光の帯が暗闇を貫き、砂煙を美しく演出する
魔法陣の円が放つ光が凝縮した
ほんの僅かな時間で、光は再び暗闇により押しつぶされた
その光は何か別のものへと変わろうとした
「・・・ポーション?
いや・・・これはハイポーション!?」
男性は、別のものに変わったそれに視線を向けながら呻く様に言う
『しかも、普通のハイポーションじゃないにゃ』
黒猫が喋りながら、とととっと歩きながらハイポーションが詰まった
一個の瓶に近づき、臭いを嗅ぐ仕草をする
「飲んだら不死身になるとか?」
男性が尋ねる
『真面目に言うにゃ
蘇生効果もあるハイポーションにゃ』
黒猫が喋る
「滅多に出ない回復アイテムの一つだよね? 」
ごくっと唾を飲む音を響かせた
男性の貌は緊張に強張り、視線をハイポーションが詰まった瓶に
向けたまま動くことができなくなった
『あと2枚
続けるかにゃ?』
黒猫が喋りながら、男性に視線を向けた
視線をハイポーションが詰まった瓶に向けつつ、『やはり今回の
黒猫の声でようやく思考を外へと向けた
華奢な吟遊詩人の爪弾く竪琴の弦の様に手を震わせつつ、ハイポーションが
詰まった瓶を慎重に拾うと、2枚目のトランプカードを青白く光り輝く
魔法陣の円に落とした
トランプカードが床に落ちると同時に、カードは空気に溶けるように消えた
再び魔法陣の円から強く真っ直な光の帯が暗闇を貫き、砂煙を美しく演出した
そこまでは同じ演出だった
だが、光り輝く魔法陣の円から何かが姿を現し始めた
大気が確実に研ぎ澄まされ、大空の広さにも劣らぬ壮大な気配だ
壮大な気配の主は、魔法陣の円から姿を現し始めた者だ
フード付きの深く昏いロープを着込み、貌は奇妙な石の仮面を被っていた
右手には、奇妙な装飾の施された杖を握っている
「マジか」
ダラダラと冷や汗を流しつつ、男性は呟く
『おめでとうにゃ?
『創造』型サーヴァントの『死霊術師』にゃ
屍霊軍団という数の暴力で楽ができるにゃよ』
黒猫が男性の前で、跪拝の礼をする『死霊術師』を見ながら喋る
「聖杯戦争をする気はまったくないので、その表現はーーーー
じゃなくて! このレアを引き当てるのってどんだけの確立だったけ?」
男性が呻く様に尋ねる
『 宝くじで一等前後賞を七回連続で当てる様な、強運が必要な確率にゃ』
黒猫が喋った
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