こころとからだ

渚けんた

第1話 はじめまして



 私の名前は理性。

 宿主のこころに居候させて貰っているいわば存在のない固体。宿主はとても起伏が激しい。すぐ怒ったり泣いたり、笑ったり。でもそこが宿主のいいところなんだよなぁ。そんな宿主の体になぜ居候させてもらっているのかというと今から半年前。宿主が地球という星に生を受けた時が始まりだ。何か密閉されている空間を宿主は窮屈そうにしていた。でもある時、密閉されていた空間が嘘のように開けて宿主は声をあげた。私はとても嬉しかった。窮屈でいづらい空間から出られたのだから。そこから私の多忙な日々がスタートしたんだ。喉が乾いて本能が

「声出して親に知らせないと」と言い出す度に私は本能を落ち着かせようとする。でも最後には負けて宿主が声を荒げてしまう。どうすれば良いのか。うまくこの先やっていけるのだろうか。


 僕の名前は本能。宿主ちゃんのこころに住む理性と一緒の同居人。といっても理性と同じで僕も姿そのものはない。僕は宿主ちゃんの思うがままに各からだの部位に刺激を与えて動くように指示を出している。僕も一年前から居候をさせてもらっていて宿主ちゃんの思ったことをすぐ行動に移そうと努力している。だけど同居人がそれを「少し落ち着こう」と宥めようとしてくる。その行動がどうしても癪に触って好きになれない。最近の悩みは理性がいることでストレスが溜まること。どうしたものか。うまくこの先やっていけるのだろうか。

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