第19話 2030年の分岐点問題

人類の未来を決める分岐点が2030年にやって来る。


暗黒の世界に向かうのかそうで無いか、人類は2021年からの10年間で、その選択を迫られる。


某TV局の特番では、温暖化問題、食料問題、ゴミ問題、ゲノム問題、AI問題の五つのテーマで論じられた。


たぶんこれの元となっているのは、日本の2030年問題だと考えている。


日本で問題となっているのが、少子化・高齢化・人口の減少・年金問題が中心になっている。

ただしこれらの問題、新型コロナのパンデミックで危機が予想より早く訪れるのではないかと危惧されている。


これに対し世界が注視しているのは、地球温暖化問題である。


2021年8月9日、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書は、「気候変動が、人間の行動に強く起因するものだ。」と、世界に向けて強い口調で発信した。


その報告書では、国際社会がこれまで設定してきた気温上昇抑制の目標が、早ければ2030年代半ばまでに早まったと警告されている。

なお気候変動で報告されているのは、気温・大雨・熱帯低気圧・雪氷圏・海面水位などだ。


この様な科学者達による最新の情報を受け、2021年6月13日閉幕したG7サミットでも、宣言文に次のような文言を入れている。


「遅くとも2050年までの、ネット・ゼロ目標及び、各国がそれに沿って引き上げた2030年目標にコミット。」


この様に危機が早まり、待ったを許さなくなった国内事情と国際状況、これらを一つにまとめたのが某TV局での特番2030年の分岐点だと考える。


さて、前置きが長くなったのでそろそろ本題に入るが、この2030年の分岐点問題、大きく分けると次の二点となる。


「オーバー・キャパシティー問題」


「オーバー・テクノロジー問題」


この二つの大きな問題については、次でそれぞれ触れるとするが、この問題点にはどちらも共通しているところがあり、最先端化学を研究している研究者達が恐れているのがこれである。


「オーバーとは、人類の制御を越える、もしくは人智を越える事を示す。」


原発にしろ原爆にしろ、オーバー・テクノロジーは、すでに人類の制御を越えている。

従って、間違って使わないように国際条約で規制を設け、各国の外交バランスで事なきを得ているだけだ。


しかし、著しい科学の進歩で、第二・第三のオーバー・テクノロジーが生まれ始めている。

これについてはオーバー・キャパシティーも同様である。


現状の国際情勢は残念ながら、地球の事情より自国の利益を優先し、それぞれの国が市場主義経済を優先しているのが現実である。


しかし、こんな事を続けていた場合、「地球の修復キャパシティの臨界点」を、いつ越えてしまうのか、保証されるものではない。


地球の臨界点、まさに人智の及ぶところではない。


もし臨界点を越えてしまえば、それこそ人類の制御、いや地球自身さえもが崩壊を止められない、そんな事態になるのではないかと、最先端の科学者達は危惧している。


オーバー・テクノロジーとオーバー・キャパシティー問題を特集した、某TV局の特番であるが、総括するとこんな主張が見えてくる。


「テクノロジーを未来の為に使うのか、暗黒の世界にしてしまうのか、

オーバーキャパシティで地球を暴走させるのか、自然と協調する社会を築くのか、

全て人類の選択にゆだねられている。」


これらを受けて、「7.最後の審判とは」の最後に、2030年の分岐点問題と「神 VS 人」との関わりに対するヒント、「神とは、人智を越えた存在である。」を書いたが、これを翻訳すると次になる。


「人智を越えたテクノロジーと、人類では制御不可能なレベルのキャパシティー問題」この問題に対し、「国の憲法や法律の上に、人が居る国家」と「国の憲法や法律の上に、神と言う重しがある国家」の、どちらが間違いを犯す危険が少ないのか、と言う回答となる。


もっとも、問題自体が現在の人間の範疇を越えているので、人間の判断のみで乗り越えて行こうとする事自体に矛盾が生じているとは思う。


憲法や法律の上に神では無く、主義や政党が存在する国家は、煎じ詰めれば神の代わりに人がいる国家となる。


ここに、「人智を越える問題を、人が管理する」と言う矛盾が生じる。


これに対し、人間の判断の上に宗教的な規範と言う重しを置いて、間違いや暴走を出来るだけ避ける。


すなわち神と言う、得体の知れない・・・・・・

オット、こんな書き方をすると罰が当たるので言い換えるが、


神と言う目に見えざるもの、人智を越えたものを規範とする事で、宗教や神、人の上に倫理と言う重しを載せて、人類の暴走を防ごうとするのが民主主義国家である。


ここで宗教の最大の利点を紹介しよう、それが下記である。


「宗教は国家の垣根を越える。」


「宗教は個人に直接アプローチする事ができる。」


以上の宗教の利点から、近未来の世界にアプローチする事で、次の様な対策も、夢物語では無くなると考える。


「主義主張で争う国々を牽制すると共に、国家や民族を越えてオーバー・キャパシティとオーバー・テクノロジーの問題に対処して行く。」



ただし、宗教間で争いが絶えないのが、国際情勢の現実であり、歴史的にも解決の出来ていない問題ではある。


設計の予言者が示す「世界政府と言う権力と、宗教的な権威による二重統治」。


まずは、宗教自身が姿勢をただし、近未来に望まなければ、中々実現は難しいと言う、頭の痛い問題ではある。


以上が、「第一部の最後の審判」の中間発表である「最後の審判とは」が示す、未来の世界を平和に迎える為の一つの道筋だと考える。

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