監視されている?
市民体育館へ到着した僕たちは、早速入り口へと向かう。
すると、制服にコートを羽織った女の子がちょうど靴を履いているところだった。
「あれ!?美依ちゃん?」
「あっ、温子ちゃん!」
どうやら彼女と同じ学校の生徒のようだ。
「うわ〜〜、びっくり〜〜!え〜〜〜!うそ〜〜」
温子と呼ばれたその子は何故か大きな声で叫んでいる。
僕の横にいる彼女は顔を真っ赤にして、「違う、違う!!」と手を大きく振っているが、その声は鳴り止まない。
「あの、美依由さんのクラスメート?」
僕は、温子という女の子に声を掛けた。
「はいそうです!私は並木温子といいます。美依ちゃんとは同じクラスです」
「そうなんだ〜。僕は、妹尾といいます。よろしく」
「あの、、、美依由の彼氏さんですよね?」
「うっ・・・」
僕が言葉を無くしていると、「お邪魔しました。美依由!明日ゆっくりと聞かせてよ」といいなが走って行く。
「もう!温子ったら!!」
「おーい、並木!!こっちだぞ。ほら、みんな待ってるから急げっ!」
その声は、
私は妹尾さんを連れて、先生やバスケットボール部のみんなから見えない所へ移動したが、おしゃべりな温子のことだ、きっと明日はクラス中から質問攻めなんだろうな・・・。
「あのさ、、ごめん。もしかして、名前とか言わない方が良かった?」
「いえ、、大丈夫です。ただ、明日が大変そうです」
ちょっと苦笑いをする彼女もとても可愛い。
「それはそうと、妹尾さん、ほらあの窓のフレーム見て下さい」
僕はノートパソコンを開き、写真を立ちあげると写真と実際のフレームを交互に眺め確認する。間違い無い。やはり、彼女が言っていた通り、この写真は、市民体育館で撮られたものだ。
一体、未来からの写真は僕たちに何を伝えたいのだろう?
僕は、二枚目の写真を立ちあげる。ファミレスでは気づかなかったが、ラブホテルの看板に隠れるようにして立っているラーメン店の看板らしきものがある。
「ここは、渋谷だったのか!」
「えっ、渋谷?」
「そう、ラブホの看板に隠れてて、わからなかったんだけどここを見て?これってラーメン店の屋号が書いて有るみたいじゃない?で、このラーメン店は、そもそもが大阪の心斎橋で有名になって、今回初めて東京、そう、渋谷に出店したとちょっと前に聞いたことがある。だから、間違い無いよ。これは渋谷の神泉の写真だと思う」
僕は、しばらく写真を眺めていた。
「ん?」
僕は、パソコンのソフトメニューから拡大を選び、画面を二百パーセントにする。
すると、今度は、電信柱に隠れていた画像が浮かび上がってきた。
「あの、、、私はまだ大丈夫なので、これからそこに行ってみますか?」
「いや、今日はやめておこう。明日、また夕方五時に君のマンションに迎えにいくね。その時、申し訳ないけど、学校の制服で来てもらえる?」
彼女は、なんでだろう?という顔で僕を見つめている。
「えっ、もしかして、妹尾さん、制服が好きなんですか?」
「ち、違う!!違う!!!この問題を解明するために必要なんだよ。まあ、個人的には君の制服姿を見てみたいという気持ちは多少なりとも有るけどさ・・・」
正直に言えばいうほど墓穴をほるという感じだ。
彼女も僕につられたように顔が真っ赤になっている。
その時だった、突然、彼女の携帯が鳴り出した。
「あれ、誰だろう?知らない番号だけど・・・。もしもし。は?えっ?なに言ってるの?」
彼女は明らかに狼狽していた。
「どうした?誰から?」
「わかりません。知らない人で声が機械みたいな感じで。そして、お前をいつも見ているぞ。お前の横にいるその男は誰だ?もう寝てるのか?って・・・」
僕も慌てて周りを見渡すが、こちらを監視しているような人は誰一人いない。
ただ、その時、一台の車がゆっくりと動き出したことに二人は気づかなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます