次の二枚の写真が語るもの

 僕は、早速、持って来たパソコンをテーブルの上で開いた。

 そして、ライカからSDカードを抜き取ると、パソコンに挿入する。


 新しい二枚の画像があることを確認した僕は、一枚目をダブルクリックする。立ち上がった画像は、モノクロームだった。


「これは、、、体育館か?」


 ワックスで光る床が広がっている。天井もとても高い。ただ、これだけだと体育館と断言は出来ない。講堂かもしれないし、武道を行う場所かもしれない。

 僕は二枚目をダブルクリックする。パッと開いたモノクロームの写真に息をのむ。それは、所謂ラブホテルと思えるような看板が立ち並んでいるショットだった。


「わからない。なんだこれは?さらに謎が深まってきた・・・」


 僕は、途方にくれた。


 今日までに、合計四枚の写真が手元にある。

 僕は、何度もそれらをパソコンで立ちあげ、細部を念入りにチェックするも、正直、ピンとくるものは何一つなかった。


 そうしているうちに、彼女がバイトを終える午後八時に近づいてきた。僕は、レシートを持つとレジに向かう。勿論、レジを打つのは彼女だ。


「外で待ってるね。急がなくていいから」


 僕は、小声で呟くと、年季の入ったドアを開け階段を登った。



「お待たせしました!」


さっきまでの気怠い雰囲気から一気に表情が変わっている。

僕は、驚いた顔を彼女に見せる。

すると、「あの、、何か変ですか?」と彼女に言われてしまった。


「いや、、ごめん。あとでゆっくりと話をしよう。夕御飯だけど、もし良ければ一緒に食べない?」

「あ、勿論、行きます。私もお話しすることが沢山あって、、、」

「じゃあ、すぐ近くに、ファミレスがあるけど、そこでいいかな?」

「はい。行きましょう!」


 ファミレスに入ると平日だからだろうか、客数はまばらだった。僕らは四人掛けのゆったりとしたテーブルに通された。

 ディナー用のパンフレットを見ながら、さりげなく彼女を見る。

どれにしようかとページをめくる仕草はまだまだあどけない。やはり高校生だ。


「決まった?ボタン押すよ」

「え、、まだ、、です。もうちょっっと、、。パスタにするかハンバーグにするか、、それとも、、。あー、、どれも美味しそう〜!」


 僕は思わず微笑んでしまった。


「あっ、妹尾さん。今、私のこと、幼いな〜なんて思ったんでしょう?」

「いや、、違うよ。ほら、、可愛いな〜と思って・・・。あっ、うっ、、」


 彼女はパンフを見るのを止めて顔を真っ赤にして俯いている。


「えっと、僕はハンバーグにするけど、君はどうする?」

「はい。私も同じで・・・」


 なんとも気まずい雰囲気が流れるものの、こうして幸せな時間は過ぎていった。

 

 これから来る恐怖を知らずに・・・。




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