第15話 舌鼓

 講習会が始まった。


 ……私は深田先輩の『魂の事前練習』を受けていた為、スムーズに実習が進んだ。


 はっしーも憧れの『ICLSアシスタント』の石黒さんに良い所を見せるため人知れず自主練していたようで、私と互角の技量だった。 ……ふむ、愛の力恐るべし! (←オーバー)


 心肺蘇生法CPRの基本となる『心臓マッサージ』と『BVMバッグ・バルブ・マスク』を用いた人工呼吸の実習は、腕力と持久力を必要としたが、日々の訓練の賜物! 以前と比べると疲労が全く違う!


『ICLSディレクター』の『桜井先生』が……


「中央(町野中央病院の通り名)の二人は優秀だなあ〜!」と驚く程だった。


 深田先輩! 感謝申し上げますっ!




 ……さて! いよいよお楽しみのお昼休み……


 私が元々、このICLS講習会に参加する事を決定付けたお弁当が支給された!


 お、お……


 美味お〜いしいぃ〜〜〜(感涙)


 和風のお弁当で量は多くないのだが、お高価たかそうなお肉と付け合せ……その付け合せも、目に良し、味良し、身体にも良さそうだ。


 私がお弁当に舌鼓を打って『究極の時間』を過ごしている間、はっしーは、ちゃっかり石黒さんを私達のデスクに引き入れて談笑し『至高の時間』を過ごしていた。


 午後からは、実際に心停止の患者が発生したという『シナリオ』に沿った実習と『まとめ』を行った。


 ……実は、この『まとめ』がちょっと……いや、かなり大変だったんだ!

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