第8話 里親探し

 看護学生さんたちは寮生活で猫ちゃんは飼えないし、検査室の皆さん、レントゲン室の皆さん、リハビリの鈴森さんにも聴いたが、猫ちゃん引き取り手は見付からなかった。


 ……それにしても、意外に『猫嫌い』な人が多いのには驚いた。 


 私は、こんなに猫ちゃんきなのにネコ皮屑ひせつアレルギーだし、本当に世の中うまくいかないものだ。


 下村さんも、あれこれ手を尽くしてくれたが、結局ダメだった。



 ……仕事が終わり、後片付けの前に、下村さんと猫ちゃんがいる営繕室に行った。


 既に箱の蓋は開け放たれ、猫ちゃんは下村さんが買って来てくれたゼリー状の餌を嬉しそうに食べていた。


 ……せめてヒゲが正常に生えていればやや安心だが、万が一何処どこかに迷い込んでしまったら……と思うと、置いておく場所にも注意が必要となる。


 ……もう、一刻の猶予も無い!


「下村さん……」


「ん?」


「私、今日、この子を連れて帰ります!」


「いや、それは止めた方が良い。 遥さんが体調でも壊したら皆が悔やんでも悔やみきれないよ!」


 ……と、下村さんが必死に止めてくれた。


「母は猫アレルギー無いですし、専業主婦なので、一時的にお預かりできます! その間に、里親さんを探しましょう!」


「う〜ん……。 確かに、夜は警備員に見ていて貰うわけにもならないしなあ……」



 ……と言うわけで、私は急いで父母にLINEで事情を説明し、父に自動車で迎えに来て貰うことにした。

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