第5話『マトリョーシカ』

 急いで帰宅し、観たかった番組を堪能してから封筒を探した。 ……中々、丁度良い大きさの物が見付からなかったが、どうせ自分に送るんだから、見てくれはどうでも良い。


 やっと見付けた、大き目の封筒に、鈴森さんの手紙を入れて糊付けした。 


 封印でペケを書こうとしたが、鈴森さんのラブ・ストーリーがペケになっちゃったら可哀想なので『寿』と書いて封印した。


 封筒の中に封筒を入れる……何処どこかで、そんなおもちゃを見た事があったな〜。


 はっ! 今は、そんな事はどうでも良い。 ……問題なのは、病院で、この手紙を受け取ったあとだ!


 エントランス、廊下、職員出入口……院内、あらゆる場所で防犯カメラが、文字通り目を光らせている。


 ちっ! 何処どこかに、奴らの眼をかいくぐる『盲点』は無いだろうか? ……私は、何かを見逃して無い? 思い出せ! 思い出すんだ! 私ーっ!


 ……って、文字だけを見ると、この人は、一体どんな犯罪を企んでいるのか……と心配になるが、そのじつ、鈴森さんが落とした手紙を本人に返すだけの話だ。


 でも当時、私は本気ほんきで悩んでいた。 若かったんだなあ〜 ←遠い目


 ……ま、まあ、私がこの手紙を病院で手にする迄には1〜2日、猶予がある。 その間に考えるんだ! この少ないキャパの頭脳を総動員して……ね!


 よしっ! 今日は、もう寝よう! ←切り替え早っ!


 その夜……私は、ゾンビ化した鈴森さんに襲われる悪夢を見た……。


 この前の『プリン』の時(本編、第五章『プリン』第2話『惜別』をご参照下さい)も、今回も、何故か最近、眠りの質が悪い。


『はっしー』こと、レントゲン室の橋本を誘って、ジムに行って、ひと汗かくか? ……等と、下らない事を考えていたら、いつの間にか眠りに就いていた。


 ……翌朝……


 今回の騒動(?)の大元おおもとである、例の封筒を入れた『封筒』を家の近くのポストに投函してから病院に向かった。


 な〜んにも解決していないのに、妙に清々しい気分なのは、なんでだろう? ……などと考えながら病院に到着した。


 ……!


 そこで私は、信じられない光景をの当たりにした! ←オーバー

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