第2章『初日』

第1話 誓い

 専門学校の卒業を間近に控えたある日、学校の先生に呼び出され、職員室に行った。


『実は卒業試験の成績が悪くて、留年しちゃう……とかだったら嫌だな……』


 ……と思っていたが、話を聴くと『町野中央病院』の検査室で技師の募集が来ているが、行ってみないか? と言うお話だった。



 ……私は前回のエピソードにもあったように『漫画家』になる為に、手に職を付けよう……と臨床検査技師を目指していたので、何となく、その時点では就職活動をしていなかった。


 加えて、国家試験の合格発表は、就職が決まったあとなので、結果が出てからでいいかな……と、のんびり構えていた。


 『町野中央病院』は、自転車で通える距離にある、中堅病院だ。



 ……ふと、解剖見学の際に、亡くなられた患者様に誓った言葉が蘇った。


『……今日の事は、誓って生涯忘れません。 臨床検査技師になれたあかつきには、お一人でも多くの患者様の早期発見に努めます。』


 ……あ、私……あの時誓っちゃってた……。


 「では、お願いします!」……と先生に頭を下げた。


 その場で電話してくれて、翌日には面接する運びとなった。


 履歴書、写真、スーツ…等、母と手分けして用意し、翌日、面接に行った。



 ……すんなりと合格し、一週間も経たない内に検査科の一員になった。


 『もう少し遊んでからでも良かったかも』……などと思えるようになったのは、かなり経ってから……の事だ。

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