第3話 くも膜下出血

 解剖は粛々とおこなわれ、各臓器の計測や、状態の確認が行われた。



 胸腔を開くと、肺や心臓が観察出来た。 肺はとても綺麗だった。


 消化器系も、問題無さそうだった。 詳しい事は、あとから顕微鏡検査をする予定になっている。

 

 先生が「まだ、お若いかただし、内蔵は問題無いでしょ? 心臓ヘルツから大動脈弓AAそして腹部大動脈アプドーミナル・アオルタ……まとめて大動脈アオルタ……動脈瘤AAAは見当たらない……わね」


 ……頭の中では日本語の臓器名がやっと理解出来る程度で、略語まで頭が回らない……臓器の形をメモし、先生の言葉を急いでメモする。


 胸部から腹部は、全く問題無かった。


 頭部を切開し、電動ノコギリで、丁寧に頭蓋骨を切って行く。


 頭頂部の頭蓋骨が外され……その場に居た全員が息を飲んだ。


 くも膜下出血SAHで、脳全体が赤黒く染まっていた。


 ……先生がつらそうに……


「……ここまでの出血があると、本人もかなり前から自覚症状があった筈だけど……無理しちゃったのかな……」……とおっしゃった。

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