想い出のままで

あつし✰︎

第1話 出会い

―入学式が終わり新歓コンペやサークル体験などが終わり、大学生活も落ち着いた4月の半ばのこと―


「たーつやっ!」

呼ばれて振り返ると、達也という僕の下の名前を入学初日から呼び捨てにしてくる、もはや親友と呼べるほどの男がそこにはいた。

「なんだい?久司(ひさし)?」

長身でスラッとしたイケメンに向かって僕は答えた。

「達也、部活とサークルどこ入るか決めた?」

にこにこと眩しい笑顔で久司は答えた。

「朝からテンション高いな久司、僕は音楽好きだから軽音楽部か軽音サークルで悩んでるよ!」

僕はそう答えた、次の瞬間運命的な出会いを果たした。


ギュッ!


親友と2人で他愛のない会話をしていると背後から何者かに抱きつかれた。

「!!!!!」

僕はびっくりして動くことすら出来なかった。

なぜなら背中に今まで感じたことない感触を感じたからだ。

「彩乃ちゃん、なんで逃げるの?」

そう言いながら、いかにも体育会系の男が現れた。

「私はこの人とお付き合いしてるので、あなたとデートしたりしませんので今後付きまとったりしないで下さい!!」

僕の背中越しにハキハキとした声で彩乃という女性が叫んだ。


10秒ほどの時が過ぎただろうか、体育会系の男が口を開いた。

「彼氏いないって言ってたじゃん!ちょっと可愛いからって男弄んでんじゃねーぞ!何がマドンナだよ!ただの男好きなだけじゃねーか!!」

一方的にそう言い捨て男は涙目で去っていった。


すると背中にあった感触がなくなった。

振り返ると今まで見たこともないような美少女がそこにはいた。

「ごめんなさい、あまりにしつこかったので利用させてもらいました。」

美少女はそう言うと一礼し、歩いて行ってしまった。


「めっちゃ可愛い...」

僕は考えるより早く呟いていた。

「それはそうだろうな!このキャンパスのマドンナって呼ばれてる人だからな!」

久司は冷静に答え、私の肩を2回叩いてこう言った。

「あの子軽音楽部だぞ...」

「まじか....なら軽音楽部に入部するわ!」

僕はそう答え一限のある教室まで向かうことにした。


背中の感触のせいで授業の内容が頭に入らなかったのは言うまでもない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る