夢のベッド

わらび餅

第1話

子供の頃。一度は夢見たことがあるだろう、「ベッドで寝たまま、学校に行きたい」と。

俺は、その願いを実現しようと思う。


まず、ベッドを買うことから始まった。普段は、布団で寝ているからベッドを持っていない。移動式にするのだからそれなりのお値段のするベッドを買った。


既に予算の半分を持っていかれたが、まぁ許容範囲としよう。


次に用意したのは、移動式にするには欠かせないもの。そう、モーターである。


いつも新製品開発のお手伝いをしている車会社に、電気自動車にも使われているインホイールモーターをタダで貰えた。しかし、その代わり新製品開発を手伝うことを言われた。めんどいな。



よし、大体のものは揃ったな。

おっと、忘れてはいけないものがあった。


今度は、車のセンサー系を作っている知人の会社に問い合せた。


「そこの会社で作ってる車のセンサー貰っていい?」


知人は快く「いいよ」と言ってくれた。


これで揃った。あとは、センサーのプログラムをするだけだ。プログラムは得意だからちょちょいのちょいだね。


よし、いよいよ組み立てだ。俺は、車庫の方にベットを運ぶ。そしてインホイールモーター、プログラム済みのセンサーを搭載する。


そして。いざ、出発!


俺は、ベッドに寝っ転がり掛け布団をかける。

車庫のシャッターを明け、センサーのスイッチとモーターのスイッチを押す。


すると、ゆっくりと移動式ベッドは発車し、道路へと出ていく。ちゃんとナンバープレートもあるから警察に文句言われんだろ。


家から学校まで約5キロ。車で大体15分程度。しかし、移動式ベッドでは20分程度で着いた。


成功だ。


なんの誤作動も無く、大学に着くことが出来た。だが、周りからの視線が痛い。


俺は、起き上がりベッド横の収納スペースから靴を取り出し大学へと向かった。




その日以降。移動式ベッドに寝て学校に行くことはなかった。


理由は__。


恥ずかしいからだ。

どうやら、羞恥心に睡眠欲が負けたようだ。

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