番外編 その2 水上陽葵のその後

「あー、ダメぇー・・・」

「ちょっとちょっと!」

 中学の同級生で、高校は別々の親友と大食いに挑戦していた。

「みずほ、なんでそんなに食べれるの?」

「ひな、これはれっきとしたアスリートだよ!」

 意味わかんない。

 銀髪セミロングで、目はくりっとしていて、アイドルにいそうな可愛らしい女の子。

 しっかりはしているけど、たまにボーッとする事がある。

 そのボーッとする所は愛嬌なので、愛される人気者なのかも。

「えっ!?あと一口分じゃん!」

「へへーん♪」

 一口分の量をスプーンで掬い平らげた。

「はぁー、ごちそうさまでした!」

 店員さんが飛んできて、カランカランとベルを鳴らした。

「おめでとうございます!サービスのデザートです!」

「やったー♪」

 大食い成功したみずほの料理はサービスのデザート&無料となった。

 私は失敗したものの、半分は食べたから半額に。

「アイス、一口?」

「はい、どうぞ、あーん」

 アイス、一口。口の中で幸せが広がった。

「これで失恋がオジャンになったでしょ?」

「うん、なるなる!」

 みずほは私の事を心配して、こうして一緒に出掛けている。

「ありがとう、みずほ」

「どういたしまして、陽葵ひなた

 親友、最高ー!心の底から思った。



「んじゃまたね!」

「またね!」

 みずほと別れて、ゆっくり歩く。

 夕方かぁ・・・。

 夕日がこの街をオレンジ色に染める。

 なんだか、また感傷に浸りそうになる。

「先輩、今、どうしてるのかな・・・」

 考えてしまう、大好きな先輩。

 今は春休み中で会えないでいた。

 自分からはもう連絡はできない。

 彼女さんの事を思うと、嫌な思いはさせられない。

 本気で好きだったんだなぁ・・・。

 じわりと実感する。


 ピロリン♪


 誰からかメッセージがきた。

 画面を見ると、みずほからだ。

 開くと、えっ!?

 思い切り変顔をした写メが送られていた。

「ぷっ・・・ぐふっ・・・あは、あはは!」

 大笑いしてしまった。泣き笑いだ。

「はぁー・・・みずほってば!」

 私も負けじと変顔をして送った。

 秒で返事がきた。


『これで元気出たね』


 私の事、よく分かってんだから。


『ありがとう』


 そう送って、帰り道をルンルンでスキップした。

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