閑話 母さんは貢ぎたいそうです(3)


「ただいま〜!!って..」


 静まり帰った家に、ソリアが帰ってきた。瞬間パッっと家の中が明るくなった。


「っ!?....何?どうしたの??」


「「「母さん、父さん。結婚記念日おめでとう!!!!」」」


 ドムリが帰ってきたあと、何とか勘違いだと説明しこのパーティの準備に取り掛かった。

 なんでも、結婚記念してから今まで祝った事がないらしい。

 これは盛大にやらなければと、ソリアの問題なの忘れてしまったように、エンディーは今日一日入り切っていた。


「ふふふっ...ありがとう、皆。」


「ソリア....」


「ドムリったらなんでそんな泣きそうな顔なの?」


 ソリアはドムリに近寄り、これでもかとドムリの顔にキスをした。


(うわ〜見てらんないよ...)


 私とカリーは少々呆れ目にその様子を見ていたが、エンディーは少し顔を赤らめていた。


「へぇー...」


「何?...」


 じとっとそんなエンディーを見つめていると、エンディーは少し不満そうな顔をした。


(まさか、エナねぇちゃんがねぇ〜)


 私とカリーはそんなエンディーを見て、顔を見合わせて笑った。


  _._._._._._._


「....なぁソリア...。」


 子どもたちが眠りについた後、ダイニングには、ソリアとドムリが残っていた。


「もう〜二人だけの時はって呼んでって言ってるじゃないっ!!」


「あぁ...そうだな...アイリス。」


 久しぶりに呼んだその名前を、ドムリはどこかぎこちなく、しかし愛らしいく思うように呼んだ。


「な〜に...。」


 ただ名前を呼び合っただけなのに、そこにはもう甘い空気が流れ始めた。


「その...エナ達がな.....」


 ドムリは思い切って子ども達から聞いた話をソリアに伝えた。

 ドムリの手には汗が滲み、普段からムスッとしている顔がいつにも増して硬かった。

 ソリアを信じている。そんなことはないと思いながらも、全てを話し終えるまでドムリはソリアの顔が怖くて見れなかった。


「ぷっふふっあの子達っ私をつけていたのね〜」


「アっアイリス...??」


 急に笑い出したソリアをドムリはゆっくりと顔をあげて見た。


「リムもリムよ〜私がそんな女だと思った??もう〜ちょっと悲しいわ。」


「すっすまない。そんなつもりでは....」


 そっぽを向いてしまったソリアを可愛いと呑気に思ったドムリだったが、ではどうして男娼を売るような店に行ったのかと疑問に思った。


「ふふっ嘘よ〜心配させてしまって私も悪かったわ。実はね...」


 それから、ソリアはどういった経緯であの店に行ったのか、何故家族に黙っていたのかをドムリに全て話したのだった。


「なるほど....そりゃ〜いい考えだな。」


「でしょ?あっこのことは...」


「分かってるよ。内緒なんだろ?」


「本当に大丈夫??リムったら子ども達に甘いんだから口滑らせないでよ〜」


「俺が甘いのは君にもだ。アイリス。」


「も〜」


 静かな夜が二人だけの世界を包み込んだ。

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