悪役令嬢は愛の重さを知るようです(3)
(またやってしまった。)
エンディーは一人定位置である教会の屋上に座っていた。
ソリアやドムリに暴言をはいてしまったことを反省していた。そしてまた何も言えなかった自分に苛立っていた。
「はぁ...ちゃんとしよう。今回こそは、言いたいこと言おう。だから、、、帰ろう。」
チリン
「えっ?」
その鈴の音はエンディーの心臓から鳴った。
「はっ!?」
(誰かに追跡されている?でも誰に??)
悩んでいる暇はなかった。エンディーはすぐさま教会を後にして、家に向かった。
チリンチリンチリン
(うっさい!!なんでこんなになんの?どういう仕組みだよ!!)
ガチャ
何とか家にはつき、エンディーはドアを開け入った。
「ただいま...。」
チリン...
(やんだ...か?)
「エナ...。」
「えっ?」
エンディーの目の前には家族がいた。
全員が待ち構えていた。
(なんで皆がいんの?まぁいいや、言いたいことあるんだった。)
「あのね!!」
パチンッ
「全くどれだけ私たちが心配したかったわかってるの?!」
「えっ??」
エンディーは何をされたか分からなかった。ソリアに頬を叩かれたのだ。そんなことは初めてだった。
いつだって怒られてるのは、カリーやシャルだった。
「えっ」
そして、エンディーはまたもや分からなかった。
ソリアに抱きつかれていた。それに重なるように皆がエンディーを抱きしめていた。
いつだって抱きしめられる方ではなく抱きしめる方だった。
「おかえり、エナ。私の愛しい娘。」
「「「おかえり、エナ(ねぇちゃん)」」」
(あぁ...そうか。私はこうされるのを待ってたんだ。)
エンディーは自分がどうしたいのかもわからずに、一人濃い霧の中を歩いていた。しかし今答えを見つけたのだった。
「ただいま!!」
そう言ってあの元気な笑顔見せると、皆を抱き返した。
_._._._._._._
「ねぇ...皆、聞いて欲しいの。私、やっぱり学校に行きたい。」
エンディー家出事件から数日後、夕食の場でそうエンディーは切り出した。
「そうなの!?頑張ってね!!」
学校はいつも春始まりだ。それまでもう半年もない。
(やっぱり行くんだ。なんか寂しくなるな〜)
「何言ってるの?私が寂しいからシャルも一緒に行くのよ?そろそろ洗礼の儀でしょ?」
(なんですとぉ!!!)
「えっ...無理だよ!!ねっ母さんも何かって、めっちゃ泣いてる!!てか父さんも!!そしてカリーも!!」
ソリアの方を見ると、他の人も泣いていることに気がついた。
「うっ嬉しくてつい...行ってらっしゃい!!エナ!シャルも〜」
「えっいや私行くって言ってない...。」
「頑張るんだぞ!!」
「頑張ってな!!」
(あっこれもう拒否権ないやつ...)
_._._._._._._
「というわけで、春から王立学校に行くことになってしまいました。」
「愛に溢れた家族ですね。シャルさんの家族は...」
「そうですか?イアンツィーさんのご家族はどんな感じなんですか?」
「そうですねぇ...愛はあると思います。ただお互いそれを現すのが苦手で、長い間すれ違っちゃいました。」
そう言って、イアンツィーははにかんだ。
「嬉しそうですね。いいじゃないですか。今は仲がいいんだから。」
どんなに時間がかかっても、お互いを理解し、愛がそこにあるのならよい家族と言えるだろう。
「そうですかね。」
今私たちは王立図書館へ来ている。
しかも個室閉架だ。そういえば、この王立図書館はドレッディーン家が所有していたのだったと思い出した。個室閉架を借りることなど造作もない事だったのだ。
(私も何回かここには来たことあったけど、王宮から出られることは少なかったからな…)
私は周りを見回した。
王宮に囲われていた時代、読書は結構好きだった。だからか、知らない図書を見つけると少し気持ちが高ぶった。
「シャ..さん、シャルさん!!」
「あっはい!!すいません思い出に浸っていて、、、」
「そうですか...そうだっ!で、大丈夫なんですか?王立学校へ行くって、レダ様にお聞き覚ましたが、お母様がノームル家の方だそうで...」
「あぁ...それもあるんですけど...んーどこから話せばいいか、」
今回の集まりで私はイアンツィーに全てを話すつもりでいた。
(でもどっからいえばいいかな〜)
「初めから全部です。」
「えっ?」
「全部聞かせてください。時間ならたっぷりありますから。それに、レダ様と約束したので...」
「わかりました。」
本気の目だった。私はそれからひとつずつゆっくりと話した。今までの周期全ての話を...
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