悪役令嬢は再会するようです(2)
「ステータスオープン」
シャロル(シャロル・エト・ヴァンビルゼ)
レベル:17
体力値:170
攻撃力:34
魔力値:600/5100(最大魔力値100000)
スキル:短剣3
追撃 5(MAX)
水魔法 5
風魔法5
火魔法5
称号: 神の愛子(いとしこ)
時空放浪
彷徨う者
スライム狩り
獣狩り
精霊の瞳
使役精霊: 「ララ」水 中級精霊
「ナナ」風 中級精霊
「ノノ」火 中級精霊
「フー...だいぶ上がったねぇ〜」
「魔法の無駄うちが多すぎるけどな。この短時間でどんだけ打ってんだよ。俺がいんの忘れんなよな。」
「あはは〜ごめんごめん。」
そこには私とカリー以外誰もいなかった。私たちはだいぶレベルが上がり、街に一番近い森で狩りをするようになっていた。
秋が終わりに近ずき、森は枯葉の絨毯が広がっていた。
「そろそろ昼にしようぜ!!」
「そうだね〜」
私たちは狩った兎の肉を焚き火に近ずけた。
「それにしても私だいぶお姉ちゃんぽくなったんじゃない?」
7つも歳が違うのに背の差があまり無かった私は成長期なのか頭一つ分くらいは背の差ができた。
「見た目だけな。見た目だけ〜」
「えぇ!!酷い...」
(まぁその通りだから何も言えないけど…)
『シャル〜そろそろいい感じに焼けるゾ!!』
「あっホントだ。」
ノノの言葉に肉へ目を戻すといい感じに焼けた兎肉があった。
『おいしそうにできたわね〜』
『僕が焼いたんだあったりまえだろ!!』
『いちいち鼻につくわね!!』
『二人ともやめなよ〜』
こちらはいつも通り元気だ。
「はぁー狩りの後のお昼はやっぱおいしー」
「食べすぎると縦じゃなくて横に伸びるぞー」
(失礼なっ!!)
バコッ
「いてぇ!!」
_._._._._._._
「シャルさん!!....はっ、はっ....」
ボシキの帰り道、そう言って声をかけてきたにはイアンツィーだった。
「イアンツィーさん!?どうしたんですか?」
「何の用だ!!」
(なんでこんなにカリーはイアンツィーさんに対して喧嘩腰なの...いやそれよりどうしたんだろう?)
「信託が...下ったんです。」
まだ少し息が上がっている中そうイアンツィーが言った。
「そうですか...。」
信託、それはきっと光の巫女が降されるという話だろう。
(いよいよ来てしまったか…)
『シャル...大丈夫?さすがに光の巫女を降すことは止められなくて...。』
そうエトの心配そうな声が聞こえてきた。
『大丈夫なの?』
『危害を加えるなら燃やしてやるゾ!!』
『私だって水で溺れさせてやるわ!!』
『二人とも危険だよ〜でも、風でどこか遠くに飛ばしてあげよっか?』
発言は一人一人過激だが、精霊たちも心配してくれる。
「どうした黙り込んで...」
隣にはカリーが手を繋いでくれる。
(大丈夫、私はひとりじゃない。)
「それで、何故ここへ?」
「それが、その信託によると、桃色の瞳を持つ少女が光の女神、レダ・アラクネが降した巫女だそうで...」
「なんでそんな話シャルねぇちゃんにすんだよ!!」
(今の家族には私の招待は明かしたくないな...)
「カリー、先帰ってて。」
「なっ!?なんでだよ!!」
「ほら、夕食の準備しなきゃじゃん。それに...」
「わかったよ...早く戻ってこいよ。」
私の神妙な顔に何かを感ずいたのか大人しくカリーは家の方へ歩いていった。
「イアンツィーさん、もしかしてなんですけど、信託はそれだけではないじゃないですか?」
「っ!?なぜ...お分かりに?」
「初めて会った時私に聞きましたよね。時空にとらわれていませんか?って何故そんなこと聞いたんですか?」
「そう聞けって信託が下ったのです。私
『あいつ!!シャルちゃんに揺さぶり掛けてきやがったのね!!』
(どういうことエト?)
『いや...なんでもない。』
(そう..)
最近エトは隠し事が多い。
『あまり神というかものを信じてはならん。』
そうノームルに言われたことを何故か急に思い出した。
(ってそんなことで悩んでいる場合じゃなかった。)
「イアンツィーさん。普通信託というものは神官ならば誰でも聞くことができます。そして信託があったならば、数日後にこの国全ての者に発布されるはずですよね?」
「そうです。よくご存知ですね。」
私はもう招待がバレてもいい覚悟で話していた。
「しかし、イアンツィーさんが私の家を訪れた後信託が下された旨は発布されなかった。その時点で、私はあなただけに信託が来る場合もあるのだと分かりました。」
「素晴らしい推理です。しかし、なぜ今回もそうだと?」
「イアンツィーさん。あなた貴族にしては感情が外にで過ぎではありませんか?平民相手だって気をぬいていませんか?」
「っ!?」
ようやくイアンツィーは気が付いたようだった。そこにいるのがただの平民の少女ではないことに。
普段父クリアスの目線に慣れているとしても、シャロルのその目を見てイアンツィーは悪寒がした。
「そうですね...申し訳ありません。もっと早くに気がつくべきでした。私はどうやら気を抜いて、シャルさんに失礼なことをしていたようですね。」
「ふふっ気がついてくれてよかったです。」
イアンツィーはついその笑顔に釘付けなった。ドレッディーン家がいくら美貌の家系であっても、その顔には負けると思った。
しかし何故今頃その美貌に気がついたのか。先程のまでは気が付かなかった。そして違和感もある。こんな美しい少女が街中を彷徨く、騎士団に街を警備させているとはいえ、こんな路地までは警備も追いつかない。危険なはずだ。何故?
イアンツィーは言葉が出ず、ただシャロルの顔を見ていた。
「イアンツィーさん...
《規約:我が名シャロル・エト・ヴァンビルゼの名の元。対象: イアンツィー・ガべ・ドレッディーン。我々はそれぞれの情報を共有する。しかし、その情報は口外しない事を誓う。》
どうですか?」
そうシャロルに言われて初めてイアンツィーははっとした。
そこにいたのは先程の煌びやかさのない普通の女の子だった。
「あっあなたは誰なんですか?」
イアンツィーは少し怖かった。その規約を宣言する手際の良さも、貴族令嬢のように立ち振る舞嘘の姿も。
『あ〜もう!!シャルちゃんちょっと驚かせすぎ!!』
パチン
「えっ??」
暗転した。
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