第9話:大晦日&正月

親にその事を伝え、そして来る当日、私はそわそわしていた。

彼女はバスで来るらしく、バス停に着いたら迎えに行く事になってた。

私はというと到着予定時刻の1時間も前から出かける準備をしていた。

そして予定時刻15分前に電話が来てバス停に着いたとの事だった。

私は冷静を装い迎えに行った。

「ひさしぶり√」会った第一声は声がひっくり返ってしまっていた!

「なに(笑)。変な声(笑)。」動揺ばればれだった!

私はポリポリと頭を掻きながら「なにその大きな荷物。」と聞いた。

千夏の手には四角い大きな荷物があったからだ。

「私が作ったおせちよ。」

「おー。ありがとうね。」感動だった。


車に乗り、実家までの間、自分の住んでいる町の事など無難な事をしゃべっていたら家に着いた。

家に着くと、家族総出で玄関の前に並んで出迎えられた。

「どうもどうも。」と自己紹介する自分の家族。


その後はまさに祭りだった。

自分の家族は父・母、それにおじいちゃんとおばあちゃんが一緒に住んでいた。

ちなみに俺は一人っ子だ。

着いてすぐ千夏に質問攻めをするおばあちゃん。

俺は千夏に「ごめんな。」と言っておいた。

その日の夜は年越しそばを食べ、2人きりではほとんど喋らず自分の家族と一緒にいた。


次の日の朝は千夏特製のおせちだ。

「実はお母さんに手伝ってもらったんだけどね。」と嬉しそうな千夏。

「いや、おいしい。おいしいよ!」と言うと千夏はまた喜ぶ。

それが自分にとって幸せだった。


午後からは自分の地域の神社に初もうでに行った。

さいせん箱の前で500円を入れ願った。

千夏は「何願ったの?」と聞かれたが「内緒。千夏は?」と聞き返す。

「私も内緒。」と言っていた。

私は本当は『千夏と結婚できますように。』と願ったのだが、そんな事口が裂けても言えない。

帰り際のおみくじは大吉だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る