第8話:仲間との会話

そして自分で考えた歌詞付きの曲を十数曲ぐらい作ったある日、まったく連絡を取ってなかった小杉に電話をした。

「よ!」と俺。

「お?どした?」と小杉。

「いやさ、なんとなく電話してみた。」

「なんだ、寂しくなったか?」

そしてしばしの沈黙。

「俺、十数曲作ったんだ。恋愛系以外の曲。」

「ほー。是非とも聴きたいねー。」

「それで、来週そっち戻ろうと思って。」

「なに?親父はもういいのか?それに学校も行かないんだろ?」

「学校は来年度から通学する。俺、もっと音楽の勉強がしたい。」

「ほー。お前変わったね。死んだ魚がよみがえったか。」

「それで一つ頼みたい事があるんだ。大切な事。」

「なになに。聞かせてみ。」

「俺とバンドを組んでほしい。」

「え?…でも俺もバンド入っているしな…。」

「掛け持ちで良いからやってくれないか?」

「…そうだな。…でも掛け持ちは嫌だ。今やってるバンドは抜ける。お前が作るバンドに入ってやるよ。」

「本当か?」

「ああ。その方が面白そうだしな。」

「悪いな。恩にきるよ。」

「そういえば彼女はどうした?」

「あ、まったく連絡とってない。」

「お前の彼女、ピアノコンクールで一位取ったらしいぞ。」

「マジか!!…そうだな。近いうちに電話してみるよ。」

「ああ、そうしなよ。お前がこっち戻ってくるの、楽しみだな。」

「ああ。後悔はさせない。」

と、電話を切った。


彼女と連絡を取るのは時間が経ったせいかなかなか電話できずにいた。

そして数日後、ようやく決心し、電話をかけた。

「もしもし」

「冬真君か。久しぶり(笑)。」

彼女が暗い声でなかったので安心した。

「ピアノコンクールで一位取ったんだって?小杉から聞いたぞ。」

「うん、取ったわよ。そっちは?変わりない?」

「ああ。変わった事といえば恋愛系以外の曲をたくさん作ったぐらいだよ。」

「え?本当?聴きたい!今すぐにでも。」

「聴かせたいけど電話では無理だな。」

「でしょうね。あの…明後日そっち行っていい?」

「…そっちって…実家?!」

「うん。3日後正月だしね。今、学校も冬休みなんだ。」

「あ、親には千夏の事言ってなかったんだ。でもいいよ。いいきっかけだし。」

「曲も聴きたいしね(笑)。」

「わかった。明後日、楽しみにしてるよ。」

と電話を切った。

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