カブと太陽
俺とタツは超能力者のマミちゃんを汚ないこと考える大人たちから守るために度重なる地震で断層だらけの国道を爆走してて
「え?タツ、おいやめろってまじかよ待てまてまて、うわーーーっ!!!!」
華麗に宙を舞うスーパーカブ――俺たちは確かにその時、空を飛んでいた。圧倒的な開放感。空には嘘のようにでっかい入道雲があけっぴろげに笑い、俺たちは初め真っ青で、2秒後にはげらげらと笑っていた。
「俺たち飛んでんな!」
「いろんな意味でなぁ!」
「マミちゃーーん!!待ってろよーーー!」
「おかーーーさーーーーん!!!アホ息子でごめんなさーーい!!!」
「お前のおふくろさんは分かってくれるさ!」
「やめろフラグ立てんな!」
「んでもって落ちんぞ!!!」
「ひゃーーーーーっ!!」
無慈悲な自由落下に俺たちはまた真っ青になった。
「クッション!クッション!!」
「まぁなんとかなる!!」
「お願いします神様女神様仏様〜」
「そしてみみず様おけら様」
「あめんぼ様は?」
「ええい!森羅万象様!!」
ずん、という腹に響く衝撃。ぷぃーーんという気の抜けたエンジン音。
「ほあ……?」
「助かったか……?」
ヨースケと間の抜けた顔を見合わせてしばし沈黙した後、ぷはっと吹き出した。
「最高!」
「あーーー面白れーーー!」
「こんなのってなかなかないよ?」
「で、船は!?」
「出港まであと3分」
「よっしゃ急ぐぞ!」
「おう!」
青春は黄金色してる。
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