『恐怖の大王シリーズ』 その4

やましん(テンパー)

『心配事』


 丸一日かけた視察から、王宮に戻った大王は、ふと、気がついたのである。


 『あらあ、どっかで、お守りを落っことしたかなあ。うわあ、不味いなあ。あれは、おいらが生まれたたときに、母上と父上が、次元空間跳躍システム付きの、ものすごく、費用のかかる宇宙船で、地球の大田成山まで行って買ってきてくれたお守りなんだなあ。いやあ、大変だ。どこに、やったか。』


 恐怖の大王は、自分が、今日、どのような道筋を進んだのかを考えた。


 『ああ、あそこ、捕虜収容所で、アンコナ・ウナサ星人の捕虜と会話をしたとき。あそこで、落としたかな。いやいや、もしかしたら、収監衛星アクナトラズで、A型囚人の様子を見学したときか。いやややや、もしかして、タバ・コースイ反乱軍の首領の脳を交換する手術見学の時だった、かもなあ。。・・・・ああ、大臣をよべ。』


 大臣は、恐怖の大王の性癖はよくわかっていました。


 『大臣、大切なお守りがないんだ。あれがないと、どうも、調子が良くないんだ。』


 『御意。お探しいたします。少し、お待ちください。』


 こうした場合、待ってもらえるのは、せいぜい半日である。


 大臣は、気に入られてるので、2日くらいまでは持つかも。




 しかし、その夜が来ても、発見の報告はない。


 『あああ、あれがないと、おいらはおしまいだ。きっと、暗殺される。いや、その前に、お風呂でおぼれるかもなあ。呪い殺されるかも。あいつに。』


 恐怖の大王は、良くない事ばかりが頭に思い浮かぶのであった。


 そうして、深夜も1時を過ぎ、さらに悶々としていたとき、ふと、手を入れた、地球製ふかふかまくらの底に、なにかがある!


 『あ、そうかあ。なくしちゃまずいと思って、前の晩、ここに入れたんだ。そうそう、次官の幽霊が出るかもしれないしな。やった~~~~! ハッピー!』


 カーテンの後ろから覗いていた、次官の幽霊は、あまりに恐怖の大王が、はしゃぐので、すっかりタイミングを失ってしまったのである。


 大臣は、特にお咎めもなく済んだのである。


 危ないところでは、あったが。




     ****************

  


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