第7話 少しだけ意識する夏休み
まえがき
今作は短編を連載化した物なんですけど…軽口叩いたり煽ったりする関係を強めにケンカップルと表記していたのですが、よく考えたら短編の時点で高校の間は煽ったりしていないんですよね…やりたい本格的な煽りってお互いが社会人になってからじゃないとできないので作中時間で煽ってイチャイチャは最速で7年、8年後です。それまでタイトル詐欺で煽り少な目の幼馴染で親友からだんだん恋人になっていく感じになりそうです。温かい目で2人を見守りください。
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8月
今日の日中はシンカーの強化をメインに練習。日が沈んでからは夏祭りにすみれと行く。
夜の町を明るく照らす屋台が俺たちを待っている。
ガララッ
「準備できた?行くよー」
まるで自分の家のようにインターホンも押さずに上がりこみ、俺の部屋をノックせずに開ける。ノックはして欲しい。
すみれの恰好はTシャツに長ズボン。すみれらしい格好である。今年から彼氏彼女の肩書がついたが肩書だけなので友達と遊ぶ感覚そのままだ。
俺たちは町の商店街へ、今夏の大蛇祭りへと来た。
「さーて今年も稼ぐわよー。」
「屋台のおっちゃん可愛そうだから手加減しような?」
的当てである。ピラミッドのように積まれたターゲットにお手玉をぶつける解体作業。
全国の高校球児と言う名のライオンの前に現れた哀れなウサギ。
「高校球児仕様はコレな。的が重くなっていてコントロールもパワーも無いと高得点が取れないようになっている。ちなみに今日のパーフェクトはゼロだ。」
屋台のおっちゃんは武装したウサギを用意していた。パワーと球威か…最近その辺鍛えまくってたなぁ…
どーやって倒そうかなー、どこから狙うかと考えていたらすみれが挑戦するようだ。高校球児仕様の奴に。
「あ、いけたわ。」
「女の子がパーフェクトだとぉ!!?やるじゃねぇか嬢ちゃん!」
「あ、ほんとだ意外といける。」
「連れの男もパーフェクト!?何もんだよおめぇら!?あーくそこっちのパーフェクト賞から好きなのもってけ!!」
ゲームソフトとか60cmサイズの大きなぬいぐるみが並んでいた。マジかよ、ゲームソフトってどれだけ難易度高かったんださっきの。なんか普通にできちゃったけど。
でも俺より圧倒的にフィジカルの無いすみれもパーフェクトなんだよな…こいつ凄すぎないか??すみれは景品2個貰ってもいいぐらい凄いよな…
すみれは大きなクマのぬいぐるみを選んでいた。
「すみれ、お前ぬいぐるみとか好きだったか?」
「好きだし部屋にはたくさんあるわよ。そういえばあんたが私の部屋に来たのって最後…いつ?」
「最後は小学校じゃないか?いつも一緒だけどそういや俺の家で一緒だったもんなぁ…」
そうか。すみれはぬいぐるみが好きだったのか。パーフェクト賞から同じく大きなサイズのクマぬいぐるみを選びすみれに渡す。
「ほら俺の分。クマ追加だ。」
「わっ、いいの?ありがと!」
あまり意識したことは無かったけどこいつ女の子みたいに笑うんだなと思った。言ったら叩かれそうだから言わないけど。
ぬいぐるみを嬉しそうに強めに抱きしめる姿は不覚にもドキッとした。
「景品も取ったし次は食べ物!串焼き!」
「あいあい。お前ぬいぐるみで両手ふさがってるから俺が買うわ。」
「奢り?」
「奢りでいいぞ。」
何もかも奢りはしないけどこういう機会は俺が奢る。俺の方が支えられすぎているんだから。
クマを両脇に抱えて手がふさがったすみれに串焼きを渡…渡せない。
「ぬいぐるみ片方持とうか?」
「嫌。私の。」
「取らねぇよ…どうやって食うんだお前。」
「あんたが食べさせてくれればよくない?」
何を当たり前のことをと言わんばかりの反応。ぶっちゃけ普段ならなんとも思わず食わせられたけど…あのな?俺お前の事ちょっとだけ、本当にちょっとだけ女の子だと…
「はぐっ」
「おい、待て、近い!」
戸惑っていたら首を伸ばして俺の持つ串焼きに食いついてきた。寄るな胸元に顔を寄せるな。少しだけ待て俺が落ち着くまで。
一本食べきるまで慌てる俺の胸元で小動物のように串焼きを食べていた。こいつ人の気も知らないで…
きっと明日になったら一時の気の迷いだったと落ち着くだろう。これ以上変に削られなければ。
なんで追加でチョコバナナ2本食べたのすみれさん??
2本目は上目遣いで俺を見ながらだったので完全に遊んでる。今後変に意識したらお前のせいだからな!
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