幼馴染良妻が支えてくれる俺の無双野球人生【ラブコメ中心】

蹴神ミコト

第1話 小学校 中学校



 あいつは小学生の頃から生意気だった。






 カキーン!






「いやー打ちやすいわねー!あんたのへなちょこストレート!」

「うるせー!次こそ抑えてやる!!」



 俺は武田浩二、投手。 幼馴染のあいつは上杉すみれ、捕手。

 小学校の野球チームに俺もあいつも所属していた。男女の身体能力差が無い時期とはいえあいつにホームランをボコスカ打たれていたのは悔しい過去だ。

 地元の大蛇南中学へ進学した俺たちはそこでも野球部に入った。




 カキーン



「これがエースとか笑っちゃうわよねー!」

「だからなんで打てるんだよお前!?」



 中学でもまあ打たれた。チームメイトを全員抑えてもすみれだけにはボコスカ打たれた。

 すみれいわく「顔を見たらどこに何を投げるか分かる」とのこと。他のチームメイトは誰も分からなかったがあいつがずっと俺の球を受けてきたからなのだろうか?


 でも、球種もコースも分かってもすみれの打球は外野の頭を越えることは無かった。





「やっぱり女子じゃもうついていけないわねぇ。」



 中3の秋。野球部の練習に混ざったすみれはそうボヤいた。

 仕方がないこととはいえすみれからそんな弱気を聞きたくなかった。だってお前は俺の幼馴染でライバルなんだから…いつものようにお前の煽りを聞きながら、ずっと一緒に野球をやりたかった…



「浩二、あんた高校どうすんの?」

「特待の話は来てないし普通に県立大蛇のつもり。」

「そっか……じゃあ、あたしも付いてってあんたを鍛えるわ。」



 は?何を言っているんだこのライバルは?



「あんた専用の練習相手が1人いたら効率全然違うでしょ?あたしの分もあんたに託す。頼んだわよ親友。」

「そう言われちゃ断れねぇだろうが…任せろ親友。」



 そこにはいつもの軽口を叩くライバルではなく、決意を固めた親友上杉すみれの姿があった。

 いつも軽口を叩いていたこいつが真面目に俺に託してくれるなんて燃えるじゃねぇか。甲子園へ行って俺をスカウトしなかった高校を見返してやろうぜ。

 俺たちはやってやるぞと拳を合わせた。




「高校で活躍出来なかったら『中学が最盛期のざぁこ』って練習中に声かけるから頑張ってね♪」

「お前ほんと発破のかけ方さぁ…」



 まだこいつの軽口を聞きながら野球を一緒に出来るんだなと思うと、俺は嬉しくて仕方なかった。

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