三題噺
あいむ
「白猫」と「看護師」と「金庫」
「はぁ~~~~~~~~…疲れた…。」
暗い部屋に帰りつき、電気をパチリとつける。
記録も全部終わらせたし、今日こそ定時上がりだ!!と思っていたのに、まさかの急患で、今日も今日とて残業だった。
「ハルちゃ~~~~~~~~~~~ん!飼い主は疲れたよ~~~~~~~~!!」
そう言って、ソファで寛ぐ愛猫のお腹に顔を埋める。
いい匂い…。白く艶やかな毛並みが頬をくすぐって幸せだ…。
この時間が一番癒される。
でも、ハルちゃんは今日も嫌そうににゃあと鳴いて逃げようとする。
「はあ…私のこと大好きなくせに、嫌そうに逃げるハルちゃんも可愛くて大好きだよ…。」
きっとハルちゃんの目には、気持ち悪いぐらいニヤニヤした私の顔が映っていることだろう。
「よし、お腹も空いたしご飯にしよう。ハルちゃんもお腹空いたよね~。」
自分のご飯よりもまず、私が帰るまで待っていたハルちゃんのご飯を用意する。
「はい、お待たせ。ご飯どうぞ。」
ハルちゃんが食べ始めたのを確認すると、自分のご飯の準備に取りかかった。
とはいっても、一人暮らしの女の食事なんて大した物ではない。
特に最近は残業ばかりなので、総菜を買ってきて食べるばかりだ。
さらに、酒を飲まないとやってられないとばかりに、夕飯とともに晩酌。
「まったく…そろそろ本当に人手不足どうにかしてくれないかなぁ…。どこも看護師不足なのはわかってるけど、こう毎日残業だとやってられないよね~。ね~?ハルちゃん?」
ご飯をつつきながらそう言うと、ハルちゃんはにゃあと返事をしてくれる。
「はあ…今日も可愛い…。」
仕事中は疲れた溜め息ばかりなのに、帰ってくると可愛い愛猫への幸せな溜め息になる。
同じ溜め息なのに不思議なものだ。
「さてさて、明日も早いことだし、さっさと風呂に入って寝ようかなぁ。」
私とハルちゃんの食べた後の皿を手早く片付け、お風呂へと向かう。
「あ、そういえば明日信用金庫に寄らなきゃ。遅番だし仕事前に行けるかなぁ…。起きられれば行けるかなぁ…。」
そんなことを呟く私の話を聞いてか否か、翌朝ハルちゃんはいつもの起床時間に私の上に飛び乗り起してくれた。
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