第12話GW a gogo!その1

「ねぇねぇGWどうする?」

「どうって言われても俺達普通に仕事あるじゃん……なぁヤエさん?」

「そうね……ミホさんと相談すれば少し位は……」

「ねぇ健! 私達はね、はっきり言って五泉しか街を知らないのよ。お願い! 何処か!」

「そんな余裕あるかな? どうなんだろヤエに聞いてみて」

 お花見が終わったら今度はGWときたもんだ、コールセンターは日曜祝日関係無くシフト制だGWのシフトはまだ提出していない、ヒエとは休刊日の関係があるから、ある程度休みは寄せる事ができるが。問題はヤエだGW何て、ある意味繁忙期じゃないか? オードブルとか……どうなんだろ?

「ヤエ、やっぱり惣菜屋さんは忙しいんじゃないか? オードブルとか?」

「キッチンサイトウは基本的に1品物を出してるみたいよ、だからGWの予定は……ちょっとシフト見るから」

「お願いよヤエ! 違う街にお出かけとかしましょうよ!」

「そうね……4日5日なら連休ね」

「じゃあ俺のシフトの予定もそれに合わせるよ」

 となると……後はヒエか……正直に言えばヒエの収入も馬鹿にならない、でもやっぱり3人で出掛けたいよな折角だし

「ヒエ休み貰えるか?」

「5日が休刊日だから4日にお休み貰えばバッチリって事ね!」

「ヤエ財務大臣……予算は幾らまで出せそう?」

「そうね……10万円位は何とか」

 結構あるな予算……となると行き先か、個人的には限られた予算の方で旅行のプランを考えるのが好きだったりする。

「二人共行って見たい所ってある? 和とか洋とか」

「どうせなら東京かな? 1番賑わってるんでしょう? ディ……」

「そこは駄目だ! GWに行くもんじゃない一発で予算オーバーだよ!」

 東京か……行けなくもない予算を抑えつつなら強行軍になるが……

「何を考え込んでいるの健?」

「二人共さ宿とか気にする方?」

「別に……そもそもこのアパートよりも酷いところなんてあるの?」

「言い方ぁ! 俺にとっては城なんだよ!!」

 部屋に問題ないなら良いな……今から予約間に合うかな?

「行き先は東京で……ディ……は駄目だからな!」

「じゃあ浅草寺に行きたい!」

「良いのか? ヒエ様元女神だろう? 他の神様の所に行って」

「良いんじゃない? 今人間だし、ヤエは何処か行きたいところは?」

「良くテレビで見る……東京タワーって所かな」

「スカイツリーじゃなくてか?」

「そこも行きたいわね〜」

「ちょっとヒエ様は欲張らないでください」

「健は行きたい所ないの? 私達に気を使わなくていいのよ?」

「俺は良いよ、また今度の機会で。二人共スマホで行きたいところピックアップしといて、旅行プラン練るから」

 そう言いながらも既に深夜バスの予約サイトを見てみると、予想してたが既に埋まりつつある。3日の深夜便に乗って5日の昼便で帰って来れば良いか……もう予約しとこう。二人が楽しそうに行き先を話し合っている、この二人は土地神としてこの土地を納めてきた。外の世界何て知らないのだろう、そう思うとやる気に火が付いた! この二人を楽しませるんだと。


 次の日の夕飯時にはリストが出来上がっていた。どれどれ


浅草寺→行ける。


東京タワー→行ける。


スカイツリー→行けるが予算次第。


お台場→行けるが予算次第。


秋葉原→行ける、でもなんで?


横浜→横浜のどこだよ……予算と時間次第。


ディ……→却下って言ってんだろ!


「あのさ? 何で秋葉原なんてあるんだよ」

「それはヒエが行きたいって」

「テレビで見て楽しそうだったから! ゲーム沢山あるんでしょう!」

「横浜は?」

「私の提案よ! 中華街に行って中華料理を……」

 ヤエはどこを目指してるんだろう? 一応日本の元女神だし……まぁこれぐらいなら行けるか……最悪はとバスツアーでダイジェストにするのも手ではあるが……納得しなそうだしな。うん、なら俺は与えられた予算と時間で期待に応えられるプランを練ろう。既にバスだけは押さえてある、問題はホテルか……

「宿は一緒の部屋で良いよな?」

「今更何いってんの?」

「デスネ」

 よし、それなら少しは節約出来るな……条件を入力して検索してみる、意外と少ないなだが料金も予想より安かったので朝食付きに変更した。ここまで決められればもう充分だろう、コースを考えるか……

3日→深夜バス

4日→早朝ホテルに仮チェックイン→お台場→横浜→秋葉原→浅草寺→東京タワー→ホテル

5日→スカイツリー→高速バスターミナル

 ……無理かなぁ? 5日が結構タイトなスケジュールだが……最悪アレがあるし、ヤエに確認する事にする。

「えっと……ヤエ、予算具体的に教えてくれるかな?」

「そうね……最低10万円多くて3万円までなら足してもいいわよ」

「なら俺も少し多めに持って行くよ、ヒエもちゃんとお小遣い残しておけよ!」

「了解よ!」

「ヤエ、頼むよお金の管理。この表の通りなら多分ね、余裕も少し持たせたから」

「任せておいてね」

「よっし! それじゃ良い旅行になる様に、明日からの仕事を頑張ろう!!」


 そこからはGW迄ひたすら働いた、厄介なクレームは跳ね除け誠心誠意対応する。

 そう言えばヤエに告白してから日常が少し変わった、時折ヤエがキスをねだる様になった。ヒエが新聞配達で居ない束の間の時間を狙ってねだって来る。応えない訳にもいかない、その代わりそれ以上は求めない事にしていた。触れていられるだけでも幸せだ。お弁当箱も大きくなりおやつを必要としなくなった。おかげで健康的な生活を送る様になりヤエには感謝しかない。

 ヒエとはもういつも通り二人で狩猟ゲームを遊び、たまに茉希ちゃんと3人で遊ぶ事もあるがヤエは今度の給料でゲーム機を買うつもりらしい、皆と一緒に遊びたいのだろう。それも良い……ってもしかしてヒエが秋葉原に行きたいってのは……本当に二人はちゃんとお互いに上手くフォローしあってる、いつかそんなヒエとも向き合わなければいけない。

 そんな思いを抱きながら日々が過ぎていき、当日を迎える。

 5月3日、仕事を終えると大急ぎでアパートに帰りサッとシャワーを浴びて。3人分の荷物が入ったキャリーケースを持ちまた電車に乗り込み新潟駅へと戻る。二人は既にシャワーも済ませ準備は出来ていた、そして初めて乗る電車に興奮気味だった。元女神が一泊二日とは言え、五泉市を離れる事が遂に来たか、いつか五泉市以外の街を見せてあげたかった事は俺の夢の一つだった。楽しみにしてて下さい、これからもっと驚くと思うよ。電車を降りると急ぎ高速バスターミナルへと向かう。

「ねぇ健! このバスにどれくらい乗るの」

「明日の朝には……多分6時位に東京に着くよ、ヒエはゲームしてないで寝とけ」

「一晩走り続けるの?」

「そうだよ、ヤエも寝ておいて明日は到着と同時に観光だから」

「うん!」

 高速バスが到着するとキャリーケースを預け乗り込む、ヒエとヤエは女性専用席に座らせ俺は少し離れて窓際の席に座るとバスが出発した。


 初の市街どころか県外まで元女神様をご案内!!

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