ラベリングワールド

シヨゥ

第1話

 ぼくらが見ている世界はぼくらの脳にある。視界に入ったものを脳に取り込んでラベルづけてして認識する。その瞬間に世界は広がるのだ。

 だからもし認識するためのラベルがなかったら世界は広がらず、閉じた世界を生きることになる。


 リンゴをリンゴとしてラベルづけができなかったらぼくはリンゴを見てなんだと思うのだろうか。木になっているのを見たらきっと木の実だと思うのだろう。

 しかし、木の実というラベルがなかったら。熟したものを見たら木に赤い何かがなっていると思うのだろう。

 しかし、赤というラベルできなかったら。

 そうやってラベルづけできない仮定を繰り返し続けたらリンゴはそこにある何かになる。


 人間も同じだ。名前を知っていたら、例えば佐藤さんになる。名前を知らなければただそこにいる人間となる。そこにいる人間に対してぼくらは『男性か女性か』や『大人か子供か』といったラベルをつけてその他大勢の人間と区別する。

 しかし男性や女性、大人や子供といったラベルがなかったら。佐藤さんはぼくと同じ人間だというラベルになる。

 そしてぼくらが人間であるというラベルを持っていなかったら。佐藤さんは自分と同じような何かになる。


 ラベルを見つけよう。ラベルはいたるところに落ちている。

 日常のなか。映画のワンシーン。小説の一節。まだまだ拾い切れていないラベルが落ちているはずだ。

 そしてぼくらの世界にラベルづけをしまくって世界を広げてみよう。きっと見落としていた楽しいことが見つかるはずだ。

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ラベリングワールド シヨゥ @Shiyoxu

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