なんとなく「レイピア」


 レイピアとは主に決闘に用いられた武器です。十分なリーチを活かし素早く攻撃できるのが特徴ですね。現代のフェンシングのイメージとその長さから柔らかく折れやすいと思われがちですが、ちゃんと斬りつけもできる剣です。突き刺しが基本となるのは一般のイメージ通りではあります。


 さて、決闘で主に用いられたレイピアですが、決闘の歴史に「ファーストブラッド」というルールがありました。先に血を流したほうが負けというルールで、これが流行していたという理由で刀身が長く先制攻撃を仕掛けやすいレイピアが多く用いられたそうです。

 決闘者達があまりにも刀身を長くしてしまうため、不公平差を無くすために1557年のイングランドは刃渡り45インチ以上の剣を禁止する法律を成立させます。しかし、その法律の目を掻い潜る者も多数いたようです。限度内の長さのレイピアをつかに隠された刀身を状況に合わせて伸ばすインチキなレイピアを作りだしていたそうです。

 ただ、このインチキなレイピア。異世界ファンタジーに置いては魔力で刀身を伸ばすというアイディアも作れるので覚えておいても損は無いと思いますよ。


 それでは本題であるレイピアの戦いですが、レイピアは基本は右手持ちです。左手は「無手むて」「ケープ」「ダガー」「バックラー」を装備する技法があります。


「無手」は創作でよく見聞きする「片手一本で十分だ」が表せます。左手を背に回し使わない。右手が使えなくなった場合に左手を最後の手段として使う者もあります。魔法世界の戦いでは隠した左手で魔法を溜めてカウンターを仕掛けるのも面白いかも知れません。ただ、無手は左手を使うパターンもありまして、手刀の構えで顔面下に添えます。頭や顔に受けるダメージを左手でカバーするというものです。うまくいけば剣をはたきカウンターを仕掛けられます。もしくは左手を犠牲にしてでも勝利する捨て身の覚悟。

 創作では強者の構えとしての演出ができますね。腕を硬質化する魔法もしくはそういう種族という設定なら盾として応用も可能でしょう。これはレイピアに関係なく戦法として覚えてもいいかも。


 続いて「ケープ」です。ケープはルネサンス期の男性が身に着けていた短なマントです。特撮好きならゴレンジャー想像するとわかりやすいかも。ケープは重ねて腕に巻きつければ切られづらいという盾のような役割で用いられました。時代が進むとわざと垂らし相手の剣に巻きつけて払う。相手の顔に巻きつけて視界を奪った隙を狙う戦法も編み出されます。ケープのアイディアとしては、よく女性キャラが動きやすくするためにドレスを裂くという演出がありますが、この裂いたドレス部をケープ代わりに巻きつけて戦うのも面白いのでは。


 次に「ダガー」ですが、ダガーは左手にも武器を持ったほうが防御にも攻撃にも使えるため編み出された二刀戦法です。この際の構えは複数あります。


 ひとつはレイピアは鞘から抜き放つ構えです。ダガーは胸の前を守るように小さく構えます。この一見すると大袈裟に見える構えは一説によると自身の怯える心を鼓舞する構えだそうです。


 次にレイピアの持ち手を小さく下げ、身体の正面に持ってくる攻防の構え。これはレイピアで広げた足の広がりを防御するのにも有効です。


 もうひとつはレイピアとダガーを中断に構えて突き攻撃に対抗するもの。後ろに下がってからのギリギリのカウンター演出に一味加えられるかも。


 最後に、右手のレイピアを突き出し身体をカバー、頭部に左手のダガーを構えて頭を守る構え。これは防御面が薄くなりますが前方のレイピアが相手を威嚇し攻撃を萎縮させる効果を狙っての構え。ここから前進し敵の武器をレイピアで払い、ダガーでアタックする有効打にもなりますね。


 まぁ、ダラっと書きましたけど、要はレイピアとダガーの組み合わせとかもあるというのがわかればアイディアを入れやすいよて事ですね。ダガーのような短剣なら太もものガーターリング(アニメのメイドさんとかが着けてるやつ)から咄嗟に装備する展開に持っていけたりもしやすいのかな。

「バックラー」は盾で紹介したのと同じなので割愛。


 あと、上に書いた構えの種類も実際使わなくても頭の隅にとどめて置けば、貴族やお嬢さまといったキャラに強者感を演出する時に一役買うと思います。

 まぁ、決闘前提で書きましたけど、決闘以外でレイピアを使っても問題ないですからね。高貴なイメージを作りやすいので貴族系のキャラ付けにドンドン使っていきましょう。あと、レイピアはその長細さから魔法を撃つ武器としてもよく使われてますから距離を取る戦いでも創作なら有効です。

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