小犬が来たりて、キャンと鳴く ※別視点
――よんどころない
あゝ、
ならぬならぬと
いかにせんとて
ヒマつぶしのつもりで、最近
「一周回って新しい」というすでに
たまたまそれを手にとった
世話になっててなんだけど、こんなのが
なんて
つまらない「御家騒動」から逃れるために、生まれた国やら身分やらを捨てざるを得なかったオレは内心、くさくさしていた。
どうせなら、ここらでおふざけの一つもしてみたっていいだろう――そんな程度の気まぐれで、編入が決まっていた学園の書類上の性別を”女”に書き換えた。
つけ毛をつけてドレスをまとい、認識阻害の幻術を施せば、見目麗しい令嬢のでき上がり。――近くで見なけりゃ、まずばれない。
念には念をと「体が弱くて、人見知り。面倒見のいい王子様だけが心の頼り」なんて設定で王子様(笑)にくっつけば、誰もわざわざ寄ってきたりはしなかった。
だが、事情を知らない婚約者が遠くから物問いたげにする様子を「あれは嫉妬か」と胸ときめかせていた王子の変態っぷりにはドン引きした。婚約者には悪いが、オレのせいではないと思う。
――どうせしばしの潜伏生活だ。男も女も必要ない。ここにいるオレは全部嘘。どう見られたって知るものか――
あの日、颯爽と現れた”
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