悪役とりまきモブ令嬢、ヒロインいびりで逆転人生!?ヒロイン無双で勝てませんがね!

オトモト

プロローグ こんな感じで出番です。

「アレクサ嬢。言わせていただけるなら、あなたは身の程を知るべきです!

侯爵令嬢として生を受け、美貌・才知・教養すべてにおいて完璧と称されるグロリア様の足元にも及ばないことを!

まして畏れ多くもグロリア様の婚約者たるロバート殿下のおそばに侍るなど!

おこがましいと、お知りあそばせ!」


 息もつかずに言い切って、ああどうにかかまなかった・・・・・・と、ほっとしました、レイチェルです。ただいま、王立学園の学校行事ダンス・パーティに参加中。

 長台詞の後は、素早く扇を広げて顔の下半分を隠します。なにせ息が上がってしまいましたので。

 

 ちなみに、「おこがましい」って「馬鹿みたい」という意味だと知ってました?わたしこの台詞のために調べるまで、「図々しい」って意味だとずっと思ってました。

 勉強って大事ですね、一つ賢くなりましたよ。


 意訳すると『ばかみたーい☆キャハ』と言われた当のアレクサ嬢は、口に片手をあててちょっとプルプルしている感じです。

 ん、効いてますか?わたしもちょっと胸が痛いです。ごめんね、みんなビンボーが悪いのよ。


 わたしのやや斜め後方にたたずむグロリア様にちろっと目をやると、こちらもかすかに眉が下がり気味です。

 整いすぎた美貌がともすれば冷たい印象を与えがちですが、グロリア様は本当は心優しい乙女なのです。

 

 今も「どうしてそんな意地悪を……」とわたしに対して困惑しているのがありありと伝わってきますが、ここはあえて知らんぷり。

 

 お父様の侯爵閣下がわたしに命じた「令嬢いびり作戦」など、グロリア様は全くあずかり知りません。

 わたしもがっつり口止めされてます。でもいいんです。お金たくさん貰ったし。

 

 震えるアレクサ嬢をかばうように、その隣にいたロバート殿下が一歩前に出てきました。

 口を開こうとするその前に、素早く言葉をかぶせます。


 「よかれと思って、ご忠告申しあげましたの。どうぞ、お気を悪くなさらないで下さいませね」

 自分で言ってて「それはムリ」と思うような捨て台詞を吐き捨てて、すたこら退場。逃げの一手です。


 さっと刺してヒット・アンドさっと退く・アウェイ。この絶妙な匙加減がいびり道の極意です。

 ふう、今日はこれで任務修了ミッション・コンプリートです。我ながらいい仕事しました。

 

 さっさと帰って、寝ましょ寝ましょ。 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る