第17話 真実語って嘘ついて
蓮はケラトに殴られて気を失ってから、しばらく目が覚め無かった。
そして強い光を感じると、そこには青い髪と青い瞳をした男が座って、林檎の皮をむいていた。
「起きたか」
そう、いたのはあテスタ・レックスだ。
蓮は改めて部屋を確認する。
窓から見える景色は暗く、街の光が小さく見え、部屋はホテルの少し高めの部屋程あり、ベッドもダブルベッドと思われる。
ある程度生活出来るものは揃っており、ベッドの横の机にはコップに注がれた水が置いてあった。
「………誰?」
蓮は、聞いた。
「あの時は意識が朦朧としていたからな、改めて自己紹介しておこう。私はテスタ・レックス。竜世界の王にして、竜装鎧ティラノの者だ、よろしく」
「あ、あんたがケラトの言ってたもう1人の王か」
「そうだな、まぁ……あの感じでは、ケラトはもう……前の性格に戻るかどうかだが……」
蓮は頭をかきながら少し悩む。
マンションで起こったことは分からないが、ケラトにとってあそこまで墜ちるような事があったのは確実だ。
元のケラトに戻したい。
あの家政夫みたいなケラトが良い。
蓮は自然と思っていた。
「……ってかここはどこだよ。ホテルか?」
「いや、間田コーポレーションという会社の中だ」
「間田……コーポレーション?なんだそれ?」
「俺が今、協力している奴の会社だ。お前、怪人と何度か戦っただろう?」
「あ、ああ。色んなやつが居たけど」
「それを作っていたのはここの奴らだ」
蓮は驚き、唖然とする。
「嘘だろ……」
「奴らは、
蓮は聞きなれない言葉に耳を疑う。
「じょ、情報……具現化……?」
「言ってしまえば、3Dプリンターの様な物だ、コンピュータで作ったデータをそのまま現実世界に具現化させる技術だ。ただ3Dプリンターなどと違って、電子生命体なんかも作れる」
「ふぁ?」
「それで、今まで怪人を作ってきたんだ。あの男は」
「あの男?」
テスタは、1枚の写真を渡した。
「間田敏樹、間田コーポレーションの社長にして、全ての元凶だ」
「………元凶?」
「お前の父親を殺したのも、あいつのせいだ」
そう言うと、テスタは机に拳を叩きつけた。
蓮は少し驚きつつも、話を聞きづける。
「彼は、悪魔を復活させようとした。お前の父親を使って」
「俺の父さんを……?」
その頃、朱天羅達は、竜人保護管理局のメンバーと顔合わせをしていた。
「僕は、我の道を行き最高の存在になる者。我道最高だ、よろしく」
「戸増樋野です、よろしくお願いします」
二野目は少しキャラの濃い我道に困惑していた。
悠里はやはりメンバーのカップリングを考えており、朱天羅はお腹減ったのでなんか食べたいとしか思っていない。
一応3人とも話は聞いているが。
「せっかくあったんだ、今ちょうど最高の材料で最高の味噌汁が出来る。君たちの最高のタイミングでね」
二野目は苦笑いしながらも、我道は厨房に向かった。
「ついでに最高のご飯も作ろう」
「なんだ……あのナルシスト……」
「ごめんね〜ああいう奴だから……」
朱天羅は少しワクワクしていた。
(ご飯……味噌汁……)
食べ物が出るからである。
「んまぁとりあえず出会ったんだし、なんかお茶でも飲みながら竜騎士同士仲良くしましょ?」
樋野はお茶を入れながら言った。
「まぁ……色々と個性的で……」
二野目は少しぎこちなく言った。
「おい、ゆーちゃんなんか言った方が」
「ねぇ、セトルと戸増君のカップリング良くない……」
「え?」
悠里はさっき口にした事を脳内でリピートし、顔を赤らめて思わず顔を隠す。
「に、にのくんさっきのは無しで!」
「どしたの?!ゆーちゃん?!ってか朱天羅もなんか」
「ミソシルタベタイ」
「だァー!こいつは食いもんかよ!」
樋野は失笑し、二野目に言う。
「君の友達、面白いね」
「………まぁ」
場所は戻り、蓮はテスタの話を聞いていた。
「……んでよ、間田が俺の父さんを殺ったのに、なんでお前は間田についてるんだ?俺が産まれてなきゃ、竜装鎧レックスは消滅してたようなもんだし。ってかそもそもなんでこっち側の世界に来たんだ?」
「それはだな、間田が竜世界に侵入してきたのが原因だ……」
テスタは話した。
蓮が生まれる5年程前。
間田は竜世界に侵入し、王にとある取引を持ち出したらしい。
協力して欲しいことがある、協力しなければ国民を全て消すと。
国民の為であれば、協力せざるを得ないと思ったテスタは協力し、竜世界から消えた。
しかし、間田は数年後、竜世界から2人の竜人を誘拐した。
そして、その2人を改造し、兵器として使役しようとした。
しかし、それはテスタにとっては聞いていない事だった。しかし、彼はなんとも思っていなかった。
そして彼は思った。
奴は倒さなければならないと。
「………という感じだ」
「何それただのクソじゃん」
「………まぁ言ってしまえばそうなのだが、そんな簡潔にまとめられてしまうとは……さすが王の血を継ぐものだ……」
蓮は内心それは関係ないと思った。
「それで協力して欲しいんだ。しばらく奴の部下として」
「まぁ良いが……」
「俺は今竜人保護管理局に裏切り者として扱われている。もしかしたら管理局の奴らがお前に刃を向けるかもしれないが死なせない程度に本気でやってくれ」
「でも、あいつらには伝えて置くべきじゃ無いか?そうすれば安心出来るし」
「間田を舐めない方が良い、今いるここでさえ、奴が見ているかもしれないからな」
「いやいや、見たところ監視カメラもねぇし、わかるわけ」
「間田は電子機器なら簡単にハッキングし、盗聴なんかもする。メールなど送れば、情報を盗み見る事も可能だ」
「そうか……」
すると、1人部屋に入ってきた。
「よお、王様」
「……キラーか」
蓮はコップをそっと置き、唖然とした。
「お前が……キラー」
キラーは蓮を見ると、にやけながらまじまじと見つめる。
「意外と陰気臭いねぇ、もう1人の王の顔は」
とある路地裏
数人の不良が、1人の青年を取り囲んでいた。
黒いスーツを着て、右耳にはピアスを付け、水色の前髪を左目に被せる様にしていた。
目は鋭く、少しやつれているようだった。
「おいお前、何睨んでんだ?」
「どけ」
「あ?どくかよ!!」
不良の男は顔面を殴ろうとするが、青年はスっと避ける。
そして手からレイピアを出し、不良の腹に刺す。
レイピアは不良を貫通し、レイピアの針先から血が流れ落ちる。
「グォッ……」
そしてレイピアを抜き、怪我を負った不良を蹴り飛ばす。
「こうなりたいか?おめぇら」
他の不良達は恐ろしさのあまり、慌てて逃げ出した。
そのまま青年が路地裏を歩いていると、空から堕天使が降りてくる。
「いや〜相変わらずエグいねぇ………ケラト君」
「勝手についてくるな、ルシファー」
「んじゃついて行く」
To Be Continued
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