第5話 朱天羅希愛智は守らない

 怪人の腕から生えた触手が朱天羅の首を絞める。

 自分も消される。

 朱天羅がそう思った時だった。

 触手の力が緩んだ。

 その瞬間に朱天羅は地面に倒れる。

「大丈夫ですか!?朱天羅さん!」

 そこには、騎士がいた。

 そう、橘蓮が。

 

「なんで………私なんかを」

 蓮は剣を地面に突き刺し、杖の代わりにして休む。

 兜の隙間からは少し血が垂れていた。

 すると、もう1人騎士が駆けつける。

 ケラトだ。

「ちょっと蓮様?!勝手に外に出ないでくださいよ!背骨にヒビ入ってるかもしれないんですよ?!」

「あ?そしたら俺の16年連続無骨折記録が止まったな……」

「とにかく休んだ方が良いですよ!」

 ケラトが連れ帰そうとするが、蓮はケラトの手をはらい、剣を地面から抜く。

「もう少しむちゃさせてくれケラト……俺の片思いの人が……ピンチだから!!」

 朱天羅は微笑した。

「馬鹿なの……」

 朱天羅はこの台詞に疑問の?を入れたかった。だが、それをつけることが出来ない。

 それもそうだろう。

 彼女の瞳からは涙が流れ出ているのだから。

「私なんかを………助けるの……」

 蓮は怪人に剣を振るう。

 怪人は右肩から袈裟斬りにされる。

 その傷口からは血は出ず、中は数字の1と0で構成されていた。

「なんだこいつ?!」

 怪人は叫び声を上げ、触手を振り回す。

 蓮はしなる触手を腕で防ぐが、その衝撃に耐えきれず、膝を着く。

 怪人は蓮の顎を膝蹴りし、蓮を倒す。

「蓮様!!」

 ケラトが右手に持ったレイピアを怪人の喉に突き刺す。

「これで!」

 しかし、怪人はケラトを蹴り飛ばす。

 ケラトの手からレイピアが離れ、怪人はレイピアを引き抜き、投げ捨てる。

「そんな……」

 怪人はケラトの首を触手で絞める。

「ぐあっ……」

「ケ……ラト……」

 蓮も立ち上がろうとした時、背中から割れるような音を感じた。

 背骨にヒビが入っだと蓮は思った。

 その痛みは今まで感じた事がない程痛く、再び膝を着く。

 その光景を朱天羅はじっと見ているしか無いと思った。

「………2人とも」

 どうして、私の為なんかに。

 化け物の様な私に。

 命を張ってまで、戦えるのだろう。

「こんな私を……助けなくても……」

 蓮は朱天羅に叫んだ。

「助けたいから!俺は!あなたを!」

 その一言で彼女は思い出した。

 昔の自分はどうしてあそこまで正義感があったのか。

 それは、ただ純粋に人を助けたかった。

 それだけだった。

 朱天羅は腰にバックルを出現させた。

 そのバックルには桃色の水晶が埋め込まれている。

 朱天羅は思った軽く息を吸い。

「竜装」

 そう言うと、朱天羅の身体を鎧が覆う。

 そして、右手にスティラコサウルスの頭を模した盾を持つ。

「久しぶりね………人助けをするのは」

 朱天羅は盾を構える。

攻撃形態オフェンスモード

 朱天羅はそう言うと、盾から刃が伸びる。

 その刃で、朱天羅は怪人の触手を断ち切り、ケラトを抱き抱える。

「大丈夫?」

「あ、はい…」

防御形態ディフェンスモード

 朱天羅がそう言うと、盾から伸びた刃が閉じ、元の盾に戻る。

 怪人はむちゃくちゃに触手を振り回すが、朱天羅の腕に弾き返される。

 そして朱天羅は盾で怪人の腹に強い一撃を放つ。

「盾は守る為にあるんじゃ……?」

 蓮が小声で言うが、朱天羅は無視して怪人の顔面に盾をぶつける。

「トドメよ」

 朱天羅は怪人の胸に盾についている角を突き刺し、少し離れて飛び上がる。

 そして、盾に向かって蹴りを放つ。

防御爆発大正義タテバクティス!!」

 その蹴りは怪人の胸を貫き、盾は地面に突き刺ささった。

「フィニッシュ」

 朱天羅がそう言うと、怪人は爆散した。


 1週間後

 蓮あの後、意識を失いそのまま病院へ送られ、今は病院の一室のベッドで寝ている。

 そして、隣にはりんごの皮を向く、朱天羅の姿がいた。

 「なんで居るんすか?」

 「あなた、あの金髪君以外に友達居ないでしょ」

 蓮は図星を突かれ、動きを止める。

 「だから、友達になろうと思って」

 「………え?」

 「だから……希愛智って呼んで」

 蓮は一瞬言うのに戸惑った。

 「こ……希愛智……」

 朱天羅は、蓮から視線を逸らし、顔を赤らめた。

 「………嬉しい」

 蓮も顔を少し赤らめた。

 そして、それをドアの隙間からケラトが見ていたの2人はまだ知らない。

 To Be Continued

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