第377話 カウントダウン・5・4・3・2・1 at 1995/12/15
「え………………?」
桃月の表情の一切が、すとん、と抜け落ちていた。
「卒業するまで……? え……それってどういう――?」
「言ったとおりよ。モモは結局、
「な、何言ってるの、ロコ……? あたにしは全然……」
「あたしは、きっと言う、そう信じてたから、見守ることにした――あの時は」
ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ!
「ば、馬鹿っ! やめろ、ロコっ!」
ロコが今語っているのは――。
遠くて近い『未来』のことだ。
だが、今目の前にいる桃月にはそんなことはわかりもしない。当然だ。
まだ、その『
ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ!!
僕のブレザーの内ポケットで、スマホが振動している。だが、いつもとはあきらかに違う。いつもより早く、いつもより激しく振動している。すぐにも取り出して確認したい。
だが、それよりも、これからロコが口にするだろう言葉をせき止める方が大事だと感じていたのだ。
「や、やめろ! それを桃月に聞かせるなんて――!!」
「あたしにだけ教えてくれたよね? ムロ――室生秀一に告白するんだって。応援してねって」
「だから、あたしは――!」
――知ってたのか、ロコ!?
それを知っておきながら、室生のプロポーズを受けて、付き合うことにしたってのか!?
「だから。結局言わなかった――言えなかったんだって、モモは」
ロコはそこで、呆れたような、あざけるような笑みをかすかに浮かべて言葉を差し挟む。
「で……ムロはどうしたかって? アイツ、地元の信用金庫に就職してから、そこで知り合ったごく普通の地味な、どこにでもいるような女の子と結婚したわ。で、支店長になったみたい」
「ま、待って! ロコ! あたしにはなんのハナシなのか――」
「やめろ、ロコっ!」
ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ!!!
「聞いて。結局さ……モモは言えなかったでしょ? だったらさ、あたしが付き合っても問題ないじゃない? あたしには、絶対に未来を変えなきゃいけない、そういう理由があるんだし」
「
「やめろってば! それ以上は――!!」
ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ!!!!
ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ!!!!
「くそっ!! うるさいんだよっ!!」
僕が。
取り出したスマホのスクリーンには。
『修復できない致命的なエラーが発生しました。まもなく強制リセットが実行されます……5』
………………え?
何か……とてつもなく危険で恐ろしいことが起こる予感がする……!!
『……4
……3
……2
………………1』
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