星空の下で
ぱんちょ
第1話:文章に興味を持ったきっかけ
『トントントン』包丁の切る音で目が覚める。
「ん・・・かおる・・・」
私は妻の名前を呼ぶ。
『トントントン』一定のリズムのその音は止まらない。
どうやら聞こえなかったみたいだ。
今は『ぼー』っと天井を見上げている。
そして昨日結婚した事を思い出す。
中学校3年生の頃、私は病院にいた。
というよりも正確には入退院を繰り返していた。
4歳の頃からネフローゼという病気で3ヶ月入院しては1ヶ月退院を繰り返していた。
ネフローゼという病気を解説すると、いろんな刺激に弱く、強い刺激を受けると尿にタンパク質が出る腎臓病だ。
血中のタンパク質を解説すると、タンパク質は血中の浸透圧をかなりの部分つかさどっており、これが尿に出て減るとむくみ等が生じ、最終的には生命の危機になってしまう病気だ。
そんな大病を4歳の頃からわずらっていた。
入院中は暇で暇で仕方なかった。
その病気は重傷度によって4段階に分けられている。
それから強い副作用の薬で徐々に良くなっていくのである。
1度はベット上安静で一ヶ月ぐらいお風呂にも入れない。
週に一度体をふくぐらいだ。
その当時、部屋にはテレビもなかった。
『ボー』っと天井を見上げる事ぐらいしかすることが出来なかったのである。
高校に入ってめっきりネフローゼも再発がなくなった。
私は本を読むのが好きで、国語だけはいつも成績はいつも5だった。
高校では生まれて初めて部活という物に入った。
入った部は文芸部だ。
詞や短歌、俳句などを創作する部だ。
最初作った俳句がこれだ。
『過ぎし日に 思いをはせる 夏の空』
夏の空が生きていて、飛んでいく鳥などに思いをはせているといった句だ。
その後もめきめき頭角を現し、3年生ではなんと10人を束ねる部長になっていた。
そしてその当時、初めて部のみんなが協力して小説を書くことになった。
そのタイトルは『学生日記』。
思ったより難産で出来上がるまで3ヶ月かかった。
その小説の内容はタイトルの通り、学生時代の楽しい思い出を中心に書いた物だ。
そしてそれは本になった。
出版社も協力して大々的に売り出し、最終的には10万部を売るベストセラーになった。
儲かったお金はみんなで話し合った結果、学校側に寄付する事にした。
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