「敵対する力」の変遷史(日本創作史&世界SF史)

十夜永ソフィア零

序 1980年代からの「敵役」の変遷史

【日本史】

 バトルものに限らず多くの創作物では、主人公は成長する。

主人公の成長に欠かせないのは、しばしば仲間と敵役(敵対する力)。

※ ……もちろん、陰キャがボッチなまま謎の力でひたすら無双なんて仲間も敵役も不要なストーリーにも、界隈では需要があるが。


 ここでは、主人公が何度も苦戦する系ストーリーの、強力な「敵役」、「敵対する力」を取り上げ、ストーリー構築の示唆を得たい。


 出発点は、20世紀生まれはもちろんのこと、21世紀生まれであっても知っている人が多く、多くの創作者に直接・間接に影響を与えたと思われる「北斗の拳」と「ドラゴンボール」とする。


 週刊少年ジャンプの連載期間を調べてみると、

「北斗の拳」1983年41号 - 1988年35号

「ドラゴンボール」1984年51号 - 1995年25号

と共に、1980年代前半とのこと。


 僕は両者ともに原作漫画は全巻読んでいるが、今回は、分析のためなので両作のまとめwikiからストーリーを振り返っていき、その後のラノベ等への影響を探る。

 取り上げる敵役は、各ステージの主人公が抱える課題との関係で重要であろう敵役を中心とする(絶対的な強さは問わない)。


【世界SF史】

 1980年代、SF的な想像力は、焼け野原から30年と経ないうちに世界一の大都市圏「首都圏」を作り上げた「日本」に未来を見た。


 神経NEURONニューロン+死霊使いNECROMANCERネクロマンサーをタイトルに冠したウィリアム・フォード・ギブスンのSF『ニューロマンサー』(1984年)は、千葉市の闇クリニックの神経外科医学(実際には神経外科死霊術?)を世界最先端とする。

 チートのチは「チバ・シティ」という1980年代ギブスンの世界観は、2020年代から振り返るとオリエンタリズムであり、日本のバブル崩壊までの徒花ということになるのだろうが。

 ここでは、ギブスンのこの怪作からの後のSFの敵役の世界史も見ておきたい。

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