第21話 地元で
手土産に冷凍餃子を買い込んで、飛行機に乗り込んだ。餃子は宇都宮餃子だ。要するに、関東土産である。冷凍食品を保冷剤だけで持って帰れるくらい、高松は近い。
「ただいまー。」
店の方から入った。
「これ、宇都宮餃子。良かったらまかないで出して。」
「清太郎さん、お帰りなさい。」
「わーい、餃子!」
バイトの子達が出迎えてくれた。
「おや、お帰り。無事に活動できたかい?」
母ちゃんが出てきた。
「ああ、もちろん。あのさ、母ちゃん。俺、これから店の手伝いをしようと思うんだけど、いいかな?」
早速切り出す。
「いいけど・・・どんな風の吹き回しだい?ああそうか。ボランティアやってきて、働きたくなったんだね?」
母ちゃんが分かったぞ、という顔で言う。
「まあ、そんなとこ。」
まずは働かせてもらって、それから徐々に新しい商品を考えて行き、いずれ製品化しよう。いきなりこれを出せ、なんて上から言えるわけがない。
「千さん、邪魔にならないようにするから、皿洗いでも何でもするから、働かせてくれ、この通り。」
俺は、厨房にいる千さんに向かって頭を下げた。
「やめてくださいよ。やりたいようにやってください。ゆくゆくは清太郎さんの店になるんですから。」
千さんは明るくそう言った。
「え?」
ゆくゆくは、俺の店?ああ、母ちゃんがいなくなれば、俺が相続するって訳か。考えた事もなかったな。
「ありがとう。よろしく頼むよ。ああ、みんなも。」
バイトの子たちにも頭を下げた。みんなにこにこ笑っていた。
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