第157話157「一掃作戦」

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「異世界ハズレモノ英雄譚〜無能ステータスと言われた俺が、ざまぁ見せつけながらのし上がっていくってよ!〜」

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********************



——クラリオン王国騎士学園/特別会議室


「今回、カイト君が『洗脳魔法の無効化魔法作成』に成功したことで、ワシやアルフレッドの悲願だったカイト君の両親⋯⋯ベクターとジェーンの記憶を国民に再び思い出させることができる。改めて礼を言う⋯⋯⋯⋯カイト君、ありがとう」

「ちょっ?! い、いきなり、何だ⋯⋯よ!!」


 俺はてっきり『一掃作戦』の話を始めると思っていたところだったので、学園長の感謝の言葉が思わぬ『不意打ち』になってしまった。


「ふぉふぉ! なるほど、カイト君はこういうのに・・・・・・弱いんじゃな(ニチャァ)」

「⋯⋯くっ!?」


 何だろう⋯⋯すっごい『弱み』を握られた気分である。


 ちなみに、学園長の隣にはこの『作戦会議』に参加している騎士団長のアルフレッド・ヴェントレーさん⋯⋯それと一緒に行動しているゼノ・アマルフィさんもいるのだが、そこでアルフレッドさんも『ニチャァ顔』をしていた。


「さて、それでは早速『一掃作戦』の話じゃが⋯⋯今回『二手』に分かれての行動となる。⋯⋯『洗脳魔法無効化班』と『魔法使役者検挙班』じゃ」

「「「「「二班⋯⋯っ!!!!」」」」」

「班の仕分けはすでに済んである⋯⋯」


 そう言って、学園長が黒板に班ごとのメンバーの名前を書き出した。


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『洗脳魔法無効化班』

・カイト・シュタイナー

・レイア・クラリオン

・イグナス・カスティーノ

・ザック・カーマイン

・ガス・ジャガー

・ディーノ・バレンチノ

・カート・マロン


『魔法使役者検挙班』

・学園長

・アルフレッド・ヴェントレー

・ケビン・カスティーノ

・ゼノ・アマルフィ

・リュウメイ・ヤマト

・ウキョウ・ヤガミ


——————————————————


「なっ?! ケビン・カスティーノ様とゼノ・アマルフィ様の名前がっ!!!!」


 班分けされた名前を見て、驚きのあまり声を上げたのは⋯⋯レイア姫ことレイア・クラリオン。


「『カイト式魔力コントロール』を習得した二人からそう懇願・・されてな⋯⋯。正直、ワシ的にはあまり騎士団長のアルフレッド以外の騎士団員の『手を借りる』のは避けたかったんじゃがな⋯⋯」

「そう⋯⋯ですか⋯⋯」


 レイアは学園長の言葉に思うところがあったのか、少し苦い顔をした。


「ま、ゼノ君もケビン君もワシを慕っている者じゃから心配ないがの。ふぉふぉふぉ⋯⋯」

「は、はあ⋯⋯」


 学園長はレイアの心配をよそに高笑いをして見せる。そんな二人のやり取りに横から入ってきたのは、


「あ、あの、すみません、学園長⋯⋯」

「ん? 何じゃね⋯⋯リリアナ君?」


 自称『カイトの公式の婚約者』と言ってはばからないリリアナ・ハルカラニ。


「わ、私たち・・・の名前が⋯⋯無いのですが⋯⋯」

「!」


 そう呟くリリアナの後ろには、サラ・ウィンバードとドレイク・ガリウスが立っていた。どうやらリリアナが三人を代表して学園長に話しかけたようだ。


「⋯⋯ふむ。それは君たち自身もわかっているじゃろ?」

「⋯⋯『カイト式魔力コントロール』の未習得」

「そうじゃ」

「「「⋯⋯っ!?」」」


 学園長のはっきりした返事に言葉を詰まらせるリリアナと、下を向いて体を硬直させるサラとドレイク。⋯⋯その時だった。


「あ、そのだけど⋯⋯⋯⋯たぶんイケルよ?」

「何っ?!」

「「「カイト(様)っ!!!!」」」


 カイトの言葉に驚く学園長と、一気に顔が明るくなる三人。


「どういうことじゃ、カイト君?」

「まー実際、うまくいくかはやってみないとわからない・・・・・・・・・・・・けどな⋯⋯」

「「「「⋯⋯え?????」」」」


 カイトの言葉に、今度は四人ともが『不安な表情』を浮かべた。



********************



「今、ここでそれを試す・・じゃと?」

「ああ。⋯⋯お前らはどうだ?」

「「「⋯⋯っ!!!!」」」


 カイトがそう言うと、リリアナ、サラ、ドレイクが若干の不安な表情を浮かべるも、


「やります! カイト様、お願いします!」

「私もやるニャ!」

「俺もだ!」


 すぐに三人ともが覚悟を決めて、力強く返事を返した。


「で、カイト君⋯⋯? ここで何をするつもりじゃ?」

「まーそんな大したことじゃないですよ。ただ⋯⋯⋯⋯『魔力制御誘導マナ・リーディング』で三人の体内魔力を制御コントロールして『魔力の体内循環の感覚』を実際に体験してもらおうかなと」

「なっ?! 体内魔力の制御⋯⋯じゃとっ!!!!」

「そ、そうか! さっきカイトがオリジナル魔道具完成の話で言っていた⋯⋯⋯⋯カイトの『オリジナル魔法』の一つかっ!!」

「⋯⋯そう。さすがレイア姫様」


 学園長の驚きの声の横で、レイアがカイトの『オリジナル魔法』の話を思い出し指摘した。さすがレイア⋯⋯⋯⋯勘所が鋭いね。


「『魔力制御誘導マナ・リーディング』⋯⋯そ、そんなこと、本当にできるのかい⋯⋯カイト?」

「ああ。そういう魔法だからな」

「い、いや、そういう魔法って言われても⋯⋯普通あり得ねーだろ? 他人の『体内魔力の制御を奪う』とか⋯⋯」


 リュウメイの質問に当たり前のように肯定するカイトに、そのカイトの言葉があまりに非常識ということで当然のようにツッコミを入れたのは⋯⋯ウキョウ・ヤガミだった。しかし、


「お前らは、まだカイトと関わるようになって日が浅い・・・・からそういう疑問が出るのは仕方ないことだ。だがな⋯⋯⋯⋯そろそろカイトの『非常識ぶり』には慣れとけよ?」

「そうそう。早く慣れないと、いちいち驚いてばかりで自分が疲れるだけだからね!」

「「イ、イグナス、ザック⋯⋯」」


 イグナスとザックが、リュウメイとウキョウに半ば『同情と憐れみのまなざし』を持って二人を優しく諭していた。


「そっか⋯⋯そうだよね、イグナス、ザック!」

「ああ、お前らの言う通りだな。へっ、俺らとしたことが⋯⋯⋯⋯まだまだってことだな」

「気にするな、すぐに慣れるさ」

「そうだよ、二人とも! 俺らは二人の味方だよ!!」

「「ああ! ありがとうっ!!」」


 そう言うと、四人ともがキラキラさせた目でお互いを励まし合っていた。


 何か、感動的なシーンっぽくなっているけど、それ⋯⋯俺に対してすごい失礼な態度でわっ!

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