第98話098「決勝トーナメント一回戦(8)」

明けましておめでとうございます。


今年も「自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-」をよろしくお願いいたします。


2022年1月1日 元旦

mitsuzo



********************



「⋯⋯強いな、リュウメイ・ヤマト」

「っ!? レ、レイア姫様⋯⋯!」


 いつの間にか俺の横にレイア姫が座っていた。


「! そう、いえば⋯⋯レイア姫様の次の対戦相手は⋯⋯」

「ああ、リュウメイ・ヤマト王太子だ」


 そうだった。イグナスはウキョウと、そしてレイア姫様はあの⋯⋯⋯⋯リュウメイと。


「⋯⋯そうでしたね。リュウメイ・ヤマト王太子、かなり強いですね」

「そうか。カイトでもそう思うのか」

「え?」

「⋯⋯いや、カイトが『かなり強い』というのであれば、相当な実力者なんだろうと思っただけだ」

「そ、そんな、僕はそんな大したものじゃないですよ」

「フ⋯⋯そんなわけないだろう。超級魔法を使えるくせに」

「えっ!? あ、いや、その⋯⋯あ、あれは、合同魔法授業の時のアレは超級魔法ではなく、単なる『魔力暴走』で⋯⋯」

「ああ、そうだったな。そういうこと・・・・・・にしているのだったな」

「え⋯⋯」

「まあいい。とりあえずリュウメイ・ヤマトが強いことを再認識できた。ありがとう、カイト」

「っ!?」


 そう言ってレイアは、カイトにニコリと笑みを返すと振り返り舞台裏へと入っていった。


「⋯⋯レイア姫様?」


 カイトはレイアが返した笑みに頬を染めつつ、振り返り去っていったレイアの背中に並々ならぬ気配を感じるのであった。



********************



「では、第五試合をはじめます! ドレイク・ガリウス、サラ・ウィンバード選手⋯⋯入場!」

「「「「「ワァァァァァァァーーーーーーー!!!!!」」」」」


 次の試合の二人が、司会のフェリシアが紹介するタイミングで舞台へと姿を現すと、観客も一斉に歓声を上げる。


「フン。獣人の国の貴族だかなんだか知らんが、人間の国の貴族と対等だと思うなよ。せいぜい身分をわきまえるんだな」

「⋯⋯あー、誰かと思ったら予選で下級貴族・・・・相手に引き分けたドレイク・ガリウス君じゃないですか。チーッス」

「っ!? き、貴様〜⋯⋯」


 ドレイクの無礼な言葉にきっちり煽り言葉で返すサラ。


「いい度胸しているようだな、サラ・ウィンバード」

「ドレイク君こそ、他国からの留学生である私にそんな言葉をかけるなんて、中々いい度胸していると思うよ?」


 試合前からそんなやり取りをする二人。どうやら準備万端のようである。


「では、第五試合、はじめぇぇぇぇーーーーーー!!!!!!」


 ゴーーーン。


「おらぁ〜!」


 試合開始早々、予選でザックに向けて放った鞭のようなハイキックを仕掛けた。だが、


「にゃ〜ん!」


 サラはその蹴りを猫の如くヒラリと躱す。ていうか猫だが。猫型獣人だし。ちなみにサラは入学からこの大会の予選までずっと猫耳を隠していたが、正体がバレて隠す必要がなくなったので今は普通に猫耳を曝け出している。あと尻尾も。うーむ⋯⋯素晴らしきかな、素晴らしきかな。


「おらおらおらおらー!!!!」


 ドレイクは自分のパンチや蹴りがサラに軽々と躱されることに特に気にしていないのか、淡々とした表情で、どんどんパンチや蹴りを連続で放っていく。だが、サラはこの連続攻撃もことごとく躱していく。


「にゃはははは! その程度の身体強化ビルドじゃ私にはカスリもしないにゃ!」

「な、何⋯⋯だとっ!? サラの言葉は「にゃん付け」が基本だというのか! か、完璧⋯⋯ジャマイカ!」


 カイトが試合よりもサラの本来の姿・・・・に気持ち悪い反応を示していると、


「キモいっ!」


 ゴ⋯⋯ッ!!!!


「へぶすっ!?」


 クルクルクルクルクル⋯⋯ドシャ。


 突然、カイトの顎を腰の入ったコークスクリュー・アッパーカットが襲う。カイトの体がキリ揉みしながら空中を舞い、重力に従って地面へと叩き落とされる。


「レ、レコっ!?」

「久しぶりに、その気持ち悪いリアクション見たけど、それ⋯⋯マジでやめなさい」

「⋯⋯はい、すみません」


 レコに結構ガチめに注意された。少しヘコんだ。

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