風鈴

 ちり……──ん


 ふいに、鈴を転がすような涼しげな音がした。これは……風鈴?

 音が聞こえたのは後ろの方から。恐る恐る振り返る。と……


 ざあぁぁ…………っ


「わ……っ」


 勢いよく風が吹きつける。髪の毛や制服のスカートがバタバタとはためく。ぎゅっときつく目を瞑った。

 耳元で、ごうごうとものすごい風の音がする。吹き飛ばされそうでちょっと怖くなる。

 今日、こんなに風が強く吹くって、天気予報でいってたっけ……!?

 しばらくすると、耳元で鳴っていた風の音が引いていく。髪の毛やスカートも落ち着いていく。肌に当たる風が止んで、わたしはそろそろと目を開けた。

 完全に目を開く寸前、ちり……──ん、とまたあの音が聞こえた。

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