12「終止符を打ちたい」



 あれから2か月が経った。


 相変わらず白瀬のいじり方も変わらず、俺は適当に惰眠を貪りながら生きながらえて、家に帰れば虚無感に襲われて、それでも白瀬に誘われるがままに家に行き、この月日が経ってしまった。


 そして、今日。

 約束の日。


「——先輩っ、今日ですね」


 電話越しの白瀬の声。

 少し楽しそうに、そして半分ほど恥ずかしそうな声で約束があることを告げていた。


「あぁ、そうだな。ようやく、明日は死ねるな」


「……こんな日だって言うのに、そういうこと言っちゃうんですか?」


「まぁ、当初より遅くなったがそれが今の俺のしたい事だからな」


 散々だ。

 こいつに生かされてから、散々と言っていいほど揶揄われて、ここまで生きてしまったのだ。そろそろ終止符を打ちたかったというのにさせてくれなかったんだからもう、いいだろう。


「意地が悪いですねっ、先輩は」


「ははっ。昔から言われ慣れてるな。そんなことっ」


「余計にいじわるです……なんか腹立ちますっ」


「立たせてるからな」


「うわぁ……これはもう、驕りですね。りんご飴」


「……なんで、そうなる」


「なんでもですっ! 特に理由はありませんよ?」


「はぁ……たくっ。分かったよ、買えばいいんだろ? 買えば?」


「いっちょ上がり~~、じゃ、よろしくですっ!」


「はいはいっ……んで、集合時間は?」


「あぁ~~、えっとぉ。豊平川の河川敷っ。あそこに18時に集合でいいですか? 私、一応講義があるのでっ!」


「あぁ、分かった。それじゃあ、その時にまたな」


「は~~い、よろしくお願いしますっ」


 ぴーぴー。

 質素な高いリズムが流れた。


 花火大会、か。


 にしても久しぶりだな。花火大会。母親と一緒に行ったことがあったくらいで、あんまり経験が少ないし、どんな感じかよく分からないけど、まぁ最期なんだ。


 最後の最期くらい、楽しませてやればいいかな。


「……よし、さっさと課題終わらせておこう」






《後書き》


 更新遅れてすみません。

 今の作品を完結させていきつつ、こちらの作品も完結させようと思ってます。一応短編のつもりで書いているので岐路には立ってるのでもう少しお待ちを!

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