第69話
今俺は有給休暇を利用して刹那の故郷に来ている。何の為かって? それは、刹那とは籍を入れて夫婦になったのだが、まだ刹那の御両親に許しを貰っていないので、許しを請う(お義母さんには了解を得ているのだが、お義父さんにはまだなのだ)為だ。
空港に着いてからの印象は成田とは違って穏やかな感じだなと思った。 噂に聞いていたミカンジュースが出る蛇口はなかった。あれはこの県のPRを兼ねての期間限定だったみたいだ。 あったら試して見たかったのに残念だ。
空港からタクシーを拾って駅まで向かう。 タクシーの運転手さんによると、東京よりこちらの方が車を走らせ難いらしい。 東京は車の量は滅茶苦茶多いが、マナーは良いらしい。こちらで初めてタクシーを運転した時、割り込みが凄くて事故をしそうになった事が多々あったとの事だった。 まぁ、馴れてしまえばどうって事無いらしいが。 こちらで運転する事は無いとは思うけど、もし運転する機会があれば気を付けて運転したい。事故を起こすのは嫌だからな。
駅に着いてから時間を確認する。 刹那の御両親にご挨拶に行く迄にはまだ若干余裕がありそうだ。
よし、折角だから観光と洒落こもうか。
先ずは……お? 街中にでっかい観覧車が見えるな。 よし、あの観覧車がある所に行ってみようか。
俺はパンフレットを見ながら街中を走る市電を使い観覧車がある場所へ向かった。
観覧車がある場所に着いて驚いた。観覧車はデパートの屋上にあった。 近くで見るとやっぱり大きな観覧車だなと思った。 観覧車に乗る為の料金を支払い観覧車に乗り込んだ。
……凄いな。 観覧車が頂上まで上がると、街が一望出来た。 これは皆に見せてやりたいな。そう思った俺はスマホを取り出してカメラ機能を起動させ、1番風景が良いと思う場所で窓にへばりつき連写した。
多分地元の人が見たら滅茶苦茶変なおっさんが写真ー撮っていると思われる光景だっただろうな。 だって、1人で " スゲースゲー! " って言いながら観覧車の窓にへばりつき連写しているのだから。 俺が地元民だったとしてもそう思っただろうな。
空からの絶景を堪能した俺が次に向かう場所は、日本最古と言われている温泉だ。 外観がらしても壮大だなと思う場所だった。 ただ、只今改装中で本来の建物の姿が観られなかったのが残念でならない。
お? 改装中でも入浴は出来るみたいだな。 これは是非にも入浴して行かないとな。
入浴料金を払い いざ浴場へ!
浴場も俺好みの内装だ。俺はゆっくりと身体を洗って浄め、お湯がたっぷり張られた浴槽に浸かる。
「ふぁあああ~🎵」
お湯に浸かった途端思わず声が漏れてしまった。
おっと、いかんいかん。 俺は周りをキョロキョロするが、誰も俺を見ている人は居なかった。 そりゃそうだろう。皆俺と同じリアクションを取っていたのだから。 それだけ此処の温泉は最高だという事なのだろう。
俺は心いく迄温泉を楽しみ、お風呂から上がった。 そして心から思う。 ビールも良いけど、やっぱりお風呂上がりの牛乳は最強だと!
温泉宿を後にした俺は、暫く辺りを散策する事にした。
あの有名な正岡子規が所縁の記念館を訪れ、中に入って感動したり、ロープウェイを使って登った先にあるお城を見学したり。
そう言えば、観覧車があった場所の近くに刹那が通った高校が在るらしいな。 17歳の時にスカウトされ東京に上京したから約1年間だけらしいけど。 観覧車に乗った時に見ておけば良かったかな? まぁ俺がジロジロ見ていたら間違いなく警察を呼ばれる案件だろ? 行かなくて正解だ。
ちなみに此処の県には紫電改を展示してある場所や、日本一長い廊下で雑巾がけをしてタイムをきそう場所や、室内アスレチックがあるショッピングモールがあるらしい。 時間が足りないので今回は行けないが、いずれは行ってみたいと思っている。
俺は腕時計で今の時間を確認する。
……そろそろ良い時間だな。移動するか。
俺は刹那の実家がある場所まで移動する事にした。
お気付きの人も居ると思うが、俺は今1人で行動中だ。
刹那は? と思われただろう。 刹那は仕事の関係上で、夕方に実家に来る様になっているのだ。
で、今が夕方。辺りが少し薄暗くなってきている。
" 今から刹那の実家へ向かおうと思うんだけど、刹那は今何処? "
俺は刹那にメッセージを送った。
すると直ぐに返信が返ってきた。
" 今駅に着きました。 ウチも今から向かいます。 あ~あ。圭介さんと一緒に観光したかったなぁ…… "
確かに刹那と観光出来たら楽しかっただろうな。 地元の人しか知らない隠れスポットを案内してもらったり、刹那しか知らない穴場とかを紹介してもらったり。
まぁ、俺達は夫婦なんだ。これからいくらでも機会はあるさ。 焦る事は無いよな。
刹那の実家は某大学の近くにある。 その某大学の近くに来た時、タイミング良く刹那からメッセージが届いた。
" 今家に着きました。圭介さんは今何処ですか? "
" 俺も近くに居るよ。合流して挨拶に行こうか "
刹那にメッセージを送り、少し歩いた所で刹那と合流した。
さぁ、刹那の御両親にご挨拶といこうか。
……ううっ。緊張するな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます