第46話
4月8日 歓迎会 兼 親睦会の日になった。
今日は何故か全部署の終業時間が16:00になっている。 社長、滅茶苦茶やる気じゃないですか……。
俺達社員は終業時間が来ると、そそくさと帰宅準備を始めて帰宅する。 その光景を見た新入社員が " えっ!? 先輩方もう帰るんですか!? " みたいな顔をして驚いていた。 新入社員諸君、これが我が社のスタイルなのだよ。
マンションに帰った俺は、ビジネススーツから私服に着替えて身嗜みを整える。 髪型良し! カジュアルシャツにスラックス。そしてジャケット。これなら人前でも恥ずかしくないな。 鏡の前でチェックをしマンションを出て○○ホテルの大宴会場へ向かった。
到着した時間はPM6:00 少し早いんじゃ?と思われる人もいるかもしれない。しかし、俺は昔から時間より早めに行動する様にしているのだ。 だって、予測していない事態になっても対処しやすいだろ?
大宴会場の前に設置してある大きめのソファーに座り、他の社員を待つ事にした。
……お? 俺と同じ考えの社員も居るみたいだ。会社内で見たことがある顔がチラホラ居る。知らない顔ぶれも居るから多分その社員の家族や友人だろう。
それから30分程過ぎた所で赤坂がやってきた。
「お~っ赤坂! 来たな!」
「丹羽! 今回も早いな! ってお前1人か?」
「や、後で刹那が合流する事になってる」
「……会場がパニックにならないといいけど」
「晃、まだ始まらないんだろ? 俺飲み物買って来るわ」
赤坂に話し掛けてきた男性がいた。結構なイケメンだ。そして背が高い。
「おい赤坂、その男性は?」
「ああ、この人は」
赤坂がその男性を紹介しようとすると、先に男性の方から
「あ、晃の友達か? 私、晃の兄の
「ご挨拶が遅れました。丹羽圭介です。こちらこそ晃君には御世話になってます」
俺と修治さんは互いに頭を下げ合う。 まるで商談相手と話をしている様だ。 これで名刺交換などをしたら完璧だろう。
しかし……兄弟揃ってイケメンだなんて反則だろ!
少しだけ赤坂兄弟に怒りを覚えてしまった。
「いやぁ、晃がどうしてもって言うから仕方なく参加させて貰いました」
修治さんが爽やかに笑う。口元からチラッと見える歯が " キラッ " と光った感じが……ちっ! これだからイケメンって生き物は!
「なに言ってるんだよ兄貴。 兄貴が " 可愛い女性が居るかも知れないから俺も連れていけ! " って言うから一緒に来たんだろ?」
「ちょっ! 晃、それは内緒だって」
かなり焦って赤坂の口を封じてくる修治さんを見て、俺は正直 ……ああ、残念イケメンだ と思ってしまった。
それから赤坂兄弟と少し話をしていると、続々と社員が集まってきた。社員の家族や友人達も大勢集まり、かなりの人数になっている。
今の時間はPM6:50 そろそろ飲み会が始まる時間だ。
しかし2人共遅いな……。もう少しで飲み会始まるんだけど。 仕方ない。先に会場に入っているか。
そう思った時、周りがかなりザワザワし始めた。
気になった俺はそのザワザワしている辺りに視線を向けると、そこには刹那と篠宮さんが立っていて辺りをキョロキョロと見渡していた。
やっぱりこの騒ぎは刹那達だったか。
俺は急いで刹那達に声を掛ける。
「お~い刹那、篠宮さん! こっちこっち!」
すると俺の声に気付いた刹那が満面の笑みを浮かべて走り寄ってくる。
「圭介さん、遅くなってしまい申し訳ありませんでした」
刹那は俺に頭を下げてきた。
「や、大丈夫だよ。まだ時間は有ったから。何かトラブルでも?」
俺がそう聞くと、篠宮さんが
「トラブルは無かったんですけどね。 遅くなった理由は、この娘の衣装選びに時間が掛かってしまっただけなんですよ」
と苦笑しながら説明してくれた。
「だって~! 折角圭介さんと一緒の飲み会なのに、とびっきり可愛い姿で居たいじゃないですか~!」
今日の刹那の服装は、ベージュスカート×グレーニット×ラベンダーリブニットのコーディネート。 刹那に滅茶苦茶似合っていてとても可愛い。
篠宮さんは、白スカート×ベージュニットトップス×白パンプスのコーディネート。 篠宮さん自体が元々綺麗な女性なので、この服装はとても似合っている。
俺は周りを見渡すと、刹那と篠宮さんは他の社員からかなり注目を集めているのが分かった。
女性社員達からは羨望の眼差しを受け、あちらこちらで溜め息が漏れている。 男性社員達は2人を見て鼻の下を伸ばしている所を奥さんや彼女に怒られたり叩かれたりしていた。
やっぱりこの2人は目立つよな。
「あっ、そうだ2人共、紹介するよ。こちら赤坂晃とそのお兄さんの赤坂修治さん。刹那は晃の方は知ってるよな?」
「はい。 赤坂さんはいつも圭介さんが御世話になっていますから。お兄さんの方は初めましてですね。 私、由井刹那と申します。よろしくお願いいたします」
「あっ、はい! 私、赤坂修治と言います! よろしくお願いいたします」
「私は
へ~っ。篠宮さんの名前は雪菜さんって言うのか。結構付き合い長いけど、初めて名前を知ったな。
「私、赤坂晃と言います。丹羽とは同期で親友です。よろしくお願いいたします」
赤坂は物応じせず笑顔で挨拶をしていた。 一方修治さんは顔を真っ赤にしてアワアワ言っていた。
「そろそろ飲み会始まるみたいだから、会場に行こうか」(圭介)
「お、もうそんな時間か? じゃあ行こうぜ」(晃)
「……はっ! じ、じゃあ行きましょう!」(修治)
「はい♥️ じゃあ圭介さん、エスコートお願いしますね♥️」(刹那)
「もう、この娘ったら。じゃあ行きましょう」(雪菜)
刹那は俺の腕に腕を絡ませくっついてくる。 赤坂と篠宮さんはそんな刹那の姿を見て苦笑。 修治さんは一時の間フリーズした後、我に帰り俺達の後を付いてきた。
そして俺達は会場の中に入って、席に座った。
俺の右隣は言わずとも刹那が座り、刹那の前に篠宮さん。俺の左隣には赤坂が座り、俺の前に修治さんが座る。
そしてPM7:00になり、歓迎会 兼 親睦会 が始まった。
「刹那さんって、何処かで見たことのある顔なんだけどなぁ……気のせいか? しかし……雪菜さんかぁ……。彼氏いるのかなぁ……」
修治さんがボソリと呟いていた。
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