第34話

今日はドラマの撮影が夕方までで終わるから、それから後はフリーになります。


……でも、フリーになっても圭介さんはマンションに居ないんだよなぁ。


圭介さんは今晩、会社の飲み会があるとかで夜遅くになっちゃうみたいなんだよね。


圭介さんが帰ってくるまでウチ何しようかな?


お部屋の掃除をするのも良いかもしれませんね。 後、圭介さんが借りてきているDVDを観るのもありかも。 そして絶対なのは、圭介さんが帰ってきたらマッサージをしてあげるんだ♥️ いつもありがとうの気持ちを込めて❤️



撮影が終了したので、ウチはスタッフさん達に挨拶をしてマンションに帰りました。勿論篠宮さんにも挨拶はしましたよ?


カードキーで玄関を開けて中に入り


「ただいま帰りました~」


……返事は無しっと。当たり前だけどね。


そう言えば、本当1年前迄はこんな生活が出来るなんて夢にも思っていませんでしたね。


去年の夏に圭介さんと運命的な出会いをして、恋に落ちて。積極的に圭介さんに迫った結果、今や同棲生活♥️ 嬉しすぎて、ウチ死んじゃうかも知れないと思った事が何度もあるんだよね。


もう圭介さんが傍に居ない生活なんて考えられない。 もし圭介さんとお別れする事になってしまったとしたら、ウチは生きていられない。 ううん、多分死ぬと思う。 それだけ圭介さんの事を愛していると言いきれる。 圭介さんもウチと同じ気持ちだと嬉しいなぁ。


ウチはリビングに荷物を置いて、楽な部屋着に着替えました。


……ウチ、この部屋着は余り人には見せたくないんだよね。 だって、可愛くないんだもん。 グレー1色のスウェット上下。 だから極力圭介さんの前で着ない様にしているんだ。 幻滅されたら嫌だもん。


だから圭介さんが居ない今だけの服装なの。 えっ? もし圭介さんが突然帰ってきたらどうするのかって?

それはほら、ウチの特技でもある早着替えが役に立つんだよ。 なんてったってウチ女優だよ? 着替えなんてお手の物だし。


ウチは早速リビング・寝室・お風呂場・キッチンのお掃除に取り掛かりました。 ……普段から圭介さんがきちんと掃除していたから、汚れも余り無くすぐにお掃除が終わっちゃいました。 ウチの見せ場が殆ど無かったです……くすん。


仕方がないからDVDでも観ましょうか。


壁に掛かってある時計の針は PM9:00を差してました。


ウチはレンタルの袋から自分好みのDVDを取り出して、プレーヤーにセットしようとしました。 その時


~🎵 ~🎶


ウチのスマホから着信音が。


誰だろう? ウチはディスプレイを確認しました。


!! 圭介さんからだ! どうしたのだろう? まだ9:00過ぎだというのに。


ウチは急いで通話をタップし


「もしもし、圭介さん? どうかしましたか?」


『あ~。しぇちゅにゃしゃん? おりぇでしゅ。けいしゅけでしゅ~♪』


ん? 何だか圭介さんの様子がおかしい。呂律が回っていない気がするのですが?


「圭介さん?」


『あにょにぇ、いま、いじゃかやにいるんやけど……ZZZZZZ』


えっ? いきなり圭介さんから寝息が!?


すると


『あっ、刹那さん? すみません赤坂です』


圭介さんの代わりに電話に出たのは、圭介さんの同僚の赤坂さんでした。


「赤坂さん? 圭介さんは今どうなっているのですか?」


『丹羽の奴、今日に限ってベロベロに酔っぱらってしまって。1人では帰れそうに無い状態なんですよ』


!? それは大変だ!!


『だからですね、もし良かったらお迎えに来て戴く事は可能でしょうか?』


ウチは


「直ぐに迎えに行きます! すみませんが、その居酒屋の住所を教えて戴けますか?」


と即答しました。


『助かります。 住所は ○○町○○番地 ○貴族という居酒屋です。刹那さんが来るまで自分が付いていますので』


「すみません、御迷惑お掛けします。今すぐ行きますので」


ウチは通話を終了し、部屋着から私服に急いで着替え直ぐにマンションを出ました。


も~っ。何で酔いつぶれる迄お酒を飲むかなぁ。でも、圭介さんを迎えに行く……。良い! これは良いシチュエーションですよ!!


ウチは心配半分、嬉しさ半分で教えて貰った居酒屋まで圭介さんを迎えに行きました。



居酒屋近くのコインパーキングに車を停めて、居酒屋迄歩いて行き、入り口の自動ドアを開けました。


" いらっしゃいませ~! お一人様ですか? "


と店員さんの元気な声が響きました。


「いえ、こちらで株式会社○○の飲み会があると聞いて来たのですが」


「それならこちらです。ご案内します」


ウチは店員さんに案内され、圭介さんの居る場所に行きました。


そこには酔いつぶれた圭介さんの姿と、同僚の皆さんの姿がありました。 ウチはすぐに


「うちの人が御迷惑をお掛けしました。申し訳ありませんでした」


と同僚の皆さんに深々と頭を下げました。


「刹那さん、良かった来てくれて。ほら丹羽、刹那さんが迎えに来たぞ? 起きろ!」


赤坂さんが圭介さんの身体を揺さぶって起こしにかかります。


「うう~ん? あれ?刹那? なんで此処にいるんだ?」


どうやら少し酔いが覚めたみたいで、呂律はしっかりしていますね。でも、顔は真っ赤でお酒臭いです。 そしてウチに電話した事を忘れていますねこれは。


「圭介さんをお迎えに来たんですよ。ほら帰りますよ」


「うん。分かった。じゃあ皆帰ります」


「多分丹羽はまだ酔っぱらってますので、十分気をつけて下さいね」


赤坂さんの助言を受けて、ウチは素直に頷き


「圭介さん、立てますか?」


と声を掛けました。


「大丈夫。よっと……あれ?」


圭介さんの身体はその場でよろめき転倒しそうになりました。ウチは慌てて圭介さんの身体を支え


「私が支えますから。じゃあ行きますよ」


「ごめんね迷惑掛けて」


皆さんに再度挨拶をして、ウチは圭介さんを車に乗せてマンションに帰りました。


マンションに着き


「圭介さん、着きましたよ。ほら、しっかりして下さいね」


と声を掛けました。 すると圭介さんはふらふらしながら中に入っていきました。 ウチは圭介さんの後を急いで付いていきました。


部屋の中に入ると、圭介さんは着替えもせずにベッドに横になって眠ってしまいました。


そんな圭介さんの姿を見て、ウチは凄く愛おしく、そして可愛く思いました。


ウチは眠っている圭介さんの頬に軽くキスをして


「お休みなさい圭介さん♥️」


と声を掛けました。あっ、圭介さんにお布団掛けなくちゃ。風邪引いちゃう。


圭介さんにお布団を掛けて、ウチは改めて着替えをする事にしました。



















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る