4話

店員「ご注文の品は以上ですね。ごゆっくりどうぞ」

黒髪女「……うへへへへ……猫耳ちゃん可愛い可愛い~」

猫耳「……は、はぁ……」

黒髪女「ねぇ、ここでそのドレス脱がして酷いことしてもいい?」

猫耳「なっ!?だっ、だめですよ!?ここファミレスですよ!?」

黒髪女「ほう……誰もいない場所ならOKということか……」

猫耳「黒髪女さんっ、目が、目が怖いです!」

黒髪女「ふふふ、冗談だよ。全く、ほんとにからかい甲斐があって可愛いんだから……」

猫耳「……中身まで可愛いって言われるのは、ちょっと不本意です……」

黒髪女「ま、食べよ食べよ。猫耳ちゃんとご飯なんて、夢みたいなシチュエーションだよ、ほんと」

猫耳「そこまで言って下さるんですね(でれでれ)じゃ、いただきまーす♪」

黒髪女「……そういえば、猫耳ちゃんは、どうやって魔法少女に変身してるの?」

猫耳「ああ、それはですね……(ごそごそ)これです」

黒髪女「二の腕に……腕輪……?」

猫耳「この腕輪がボクに力をくれるんですよ。魔法少女達の間では、クリスタルって呼ばれてますけど……」

黒髪女「それは何処で?」

猫耳「うーん……それは分かんないです。ある日突然、気付いたらここに付いてて、変身できるようになってました」

黒髪女「ふぅん……本人も分からない物なんだ」

猫耳「ごめんなさい……ボクにもちょっと分からないことが多くて」

黒髪女「いやいや、大丈夫。なんとなく聞いてみただけだから」

黒髪女「あ、そうだ。この間はありがとう。色々と助かったよ」

猫耳「あ、合コンの後ですか?覚えてたんですね」

黒髪女「朧げだけどね。もし、あそこに猫耳ちゃんがいなくて、怪物に襲われたら……と思うとね」

猫耳「黒髪女さん……」

キャアアアアアアッ!!

猫耳&黒髪女「「!?」」

猫耳「怪物かっ!?」

黒髪女「行こう!」

猫耳「え、でも黒髪女さんは……」

黒髪女「大丈夫!足手まといにならないよう、遠くから見てるだけだから。それに、応援するのもファンの仕事だし?」

猫耳「……わかりました。それじゃ、行きますよ!」

黒髪女「おー!」


怪物「ガチガチ……」

市民「うわぁ!?助けてくれっ!?」

怪物「ガァ!」

猫耳「やいやい怪物ッ!」

怪物「チッ?」

猫耳「悪を挫く市民の味方!猫耳魔法少女ッ!ここに見参!」

黒髪女「猫耳ちゃーん!ファイトー!」

怪物「ガチガチ……」

猫耳「(……こいつは、こないだ倒した奴と同じタイプ……!やっぱりコアを回収できなかったから、倒しきれなかったのか……?)」

猫耳「とにかく打って出るッ!」

猫耳「せいやああっ!」

黒髪女「出たっ、伝家の宝刀、飛び蹴り!」

怪物「ガチッ」

猫耳「(相変わらず素早い鋏のカウンター……けどっ)はっ!」

怪物「!」

黒髪女「空中で身体を捻って避けた!?」

猫耳「ここっ!」

ズバァン

怪物「ガァ!?」

猫耳「(吹っ飛ばした!)喰らえ、もう一発!」

バコォン

黒髪女「す、すごい連続攻撃……猫耳ちゃん、いつの間にこんなに強く……」

猫耳「……ふー、ふー」

猫耳「(やっぱり声援があると頑張れる気がする……頭の回転も攻撃のキレも、最高だ……!)」

コロコロ

猫耳「よっし!コア回収~っと」

??「待ちなさい」

猫耳「!?」

黒髪女「あ、あれは……」

兎耳「久しぶりね、猫耳さん」

猫耳「……兎耳さん!」

黒髪女「(やはり可愛い……猫耳ちゃんとはまた違った、ビューティーな感じが、こう)」

猫耳「な、何ですか。またボクの倒した怪物のコアを奪いに……?」

兎耳「いえ、今日はあなたに用事があって来たの」

猫耳「用事……?」

兎耳「……(くい)」

黒髪女「ふぉあ!?浮いた!?うう、うわあああっ!?」

兎耳「掴まえた♪」

猫耳「黒髪女さん!!このっ、黒髪女さんを離せっ!」

兎耳「ふふ……ちょうどいいギャラリーがいたことだし……」

黒髪女「ね、猫耳ちゃぁん……」

兎耳「……このコを助けたくば、私に勝ってみなさい。猫耳さん」

猫耳「なっ!?」

黒髪女「えっ!?」

兎耳「さもなくば……(クイッ)」

黒髪女「うぁっ……」

猫耳「黒髪女さんっ!ど、どうしてこんな事を!」

兎耳「ふふ、どうしてでしょうねぇ?」

兎耳「(さぁ、怒りなさい、その怒りはあなたの潜在能力を――)」

猫耳「ボクが相手になってやる!だから、黒髪女さんを離せ!」

兎耳「まぁ、そう焦らないで……彼女には、特等席から見てて貰うわ」

黒髪女「ね、猫耳ちゃん……ワタシはいいから、早くその兎耳を!」

猫耳「黒髪女さん……」

猫耳「……兎耳っ、必ずあなたを倒して、黒髪女さんを助けてやるっ!」


先輩「……不在?」

警備員「はい、お嬢様は先程お出かけになったところです」

先輩「……そうか。連れ合いはいなかったか?」

警備員「さぁ……私が見たのは、お嬢様一人だけだったと思います」

先輩「客人が帰ったりはしたか?」

警備員「ええと……ええ、今朝、可愛らしいお嬢さんがいらして、昼前に帰られたところです。

先輩「わかった。邪魔したな」

警備員「いえ、お気をつけて」

先輩「(全く、猫耳のやつ……どこで油を売っているんだ。そろそろ報告なり連絡が来てもいい頃だとは思ったが……)」


兎耳「ほらほら!あなたの力はその程度?(クイッ)」

猫耳「く……わぁっ」

猫耳「(くそっ……あのサイコキネシスみたいな攻撃が厄介だ……離れた場所から、こっちの姿勢を崩してくる……そしてバランスを崩した所に……)」

兎耳「はっ!」

猫耳「(この魔法弾ッ!)」

猫耳「ぐあっ!」

黒髪女「猫耳ちゃんっ!」

猫耳「……くそっ、近づけさせないつもりか……」

兎耳「あらぁ。これだけハンデあげてるのに、そんなんじゃ期待外れよ?」

猫耳「く……ちきしょおっ!」

黒髪女「駄目だ猫耳ちゃん!」

兎耳「(クイッ)」

猫耳「ッ!?」(ガクン)

黒髪女「~ッ!(くそっ……ワタシが猫耳ちゃんの足手まといになるなんて……)」

黒髪女「(なんとか……ワタシが突破口を見つけないと……!)」

兎耳「あーあ、意気込んだ割に、女の子一人助けられないなんて。

市民の味方が聞いて呆れるわ」

猫耳「……」

猫耳「(怒るな……抑えろ、冷静になれ……考えるんだ。兎耳のサイコキネシスを突破する方法を……!)」

黒髪女「(……猫耳ちゃんがコケるタイミングは、猫耳ちゃんがジャンプした直後か……着地する寸前……この兎耳ちゃんは、そのタイミングを狙って、念力のような能力で、猫耳ちゃんの足を掬ってバランスを崩させている……)」

猫耳「(……力場のようなものを一瞬展開して、ボクの機動を邪魔している……ん?……力場……)」

兎耳「ほらほら、動かないのなら、こっちからいくわよ」(キュイイン)

猫耳「(……イチバチだけど……やってみるか?)」

兎耳「はっ!」

黒髪女「猫耳ちゃん!」

猫耳「(この魔弾……ボクをあっちに回避させるための誘導……)」

猫耳「(……となると、必然的にこっち方向への跳躍に絞られる……)」

兎耳「(ニッ)」

猫耳「(……敵の狙いは……ここの着地際……ッ!)」

兎耳「(クイッ)」

猫耳「そこだっ!」(タンッ)

兎耳「なっ!?空中で……」

黒髪女「跳んだ!!」

猫耳「(兎耳さんの力場は、ボクの脚にちょっと当てて邪魔するだけのもの……)」

兎耳「私の力場を……!」

猫耳「(……だったら、力場そのものを蹴って足場にしちゃえばいい……!)うおおっ!黒髪女さんっ!」

兎耳「しまった!狙いはあっちか!」

猫耳「はっ!」(ガシィ)

黒髪女「猫耳ちゃんっ!!」

兎耳「その女を助けたのね……私としたことが……」

黒髪女「猫耳ちゃん……ごめん、ごめん……ワタシのせいで……」

猫耳「大丈夫です……とにかく逃げますよっ!掴まってて下さい!」(シュタッ)

兎耳「逃がさないっ!」(グッ)

猫耳「っ!!(しまった、バランスがっ……!)」

黒髪女「わっ……」

猫耳「(このままじゃ、黒髪女さんがっ!?なんとか体勢を立て直さないとこのままじゃ二人ともいやボクは大丈夫だけど、黒髪女さんは無事じゃ済まないボクが彼女の下敷きになっても彼女には衝撃がそもそもボクが力場を食らったのが原因でボクが油断しちゃったからこそなのに関係のない彼女をでもそもそもここ戦いの意味は何なんだもういいやいっそこのまま彼女と一緒に―ー

兎耳「ふふ……」

猫耳「!!……冗談じゃ……ないッ!」(ドクン)

ぱきん

猫耳「!?」

猫耳「こ、これは……」

猫耳「……時間が……止まってる……?」

猫耳「いや、ゆっくり落ちていってる……」

猫耳「……時間が止まってるんじゃない、周りの世界がゆっくり進んでるんだ……!」

猫耳「……そういえば、前に公園で怪物を時も……こんなことがあった!」

猫耳「これがボクの……力!?」

猫耳「なら……これで黒髪女さんを助けるッ!」

猫耳「着地こそ、猫の本領だろッ!」

猫耳「ここをこうして……こうっ!」

スタッ

猫耳「……よし、着地成功!」

兎耳「何っ?一体何が?」

黒髪「え?猫耳ちゃん……え?」

猫耳「大丈夫です、ボクが必ずあなたを守りますから」

黒髪「……うん(ギュ)」

シュタタタタ……

兎耳「逃した……けど……」

兎耳「……レコーダーには記録できたわ……彼女の"覚醒"の力が……」


猫耳「……はぁ、はぁ……ここまで来れば大丈夫かな……」

猫耳「もう追ってこないみたいだ……ふぅ」

黒髪女「猫耳ちゃん……(ぎゅ)」

猫耳「わっ!?く、黒髪女さんっ!?」

黒髪女「ありがとう……怖かった……ワタシ……ありがとう……」

猫耳「黒髪女さん……」

猫耳「大丈夫ですよ。ボクがいる限り、誰にもあなたをーー(ガクン)

黒髪女「っ!?ね、猫耳ちゃん?」

猫耳「……く……ダメージを受けすぎたのかな……変身が……」

(シュウウウウ)

黒髪女「ちょっと、猫耳ちゃん?いや、素猫耳くん?大丈夫?」

素猫耳「なぁに、大したことは無……(ガクッ)

黒髪女「ちょっと!素猫耳くん!素猫耳くん!?」

素猫耳「……すーすー」

黒髪女「……寝ちゃった……それだけ必死だったのかな……」

黒髪女「ワタシのために……」


・・・

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