第13話 策略


 模擬戦から数日後、学園でレティシアと再会し、あの後家に連れ帰られて、大変だったと聞かされた。


 シリウスの機嫌を何が悪くさせたのかは、定かではないが、確実な要因の1つとしては、やはりレティシアがあの場にいたことなのだろう。


「お兄様は帰ってから、もう二度と騎士団に行くなと釘を刺してきて、うるさかったわ。あまり詮索はされなくて助かったけど、ディアを巻きこんでしまって、ごめんなさい」

 レティシアはシリウスに何か、言われたのだろう。


「私が誘ったことにしていたし、また、私と関わらない方がいいとは言われなかった?」

 リーディアはレティシアがこの作戦を提案してきた時から、もしシリウスが怒るなら、私に対してだろうし、また嫌われるなと思っていた。

 あの日、言葉を交わすことなく去ったシリウスに、だいぶショックを受けたのは事実だ。


「別に、言われはしなかったけれど。耳飾りを預かられて、何かしたみたいなのよね。居場所がわかるみたいで、いつもと違う行動すると聞いてくるようになっちゃったのよ。危なくて、軽率な行動がとれなくて、とっても困っちゃうわ」


 どうやら、リーディアにくれたブレスレットと似た機能があるようだ。


「だから、ディアにまたお願いしたいことが出来ちゃったんだけど、頼んでもいいかしら。ある物をとりにいってもらいたいのよ」

 レティシアは眉をよせて、可愛らしい顔で見てくる。


「ええ、取りに行くくらいなら大丈夫だけど」

 ある物というのは、気にはなるが、行って預かればいいのだろう


「ありがとう。場所は城下町のお店なんだけど、魔力の制限がかかっているお店だから、頼める人がいなかったのよ。使用人には難しいしね」

 どうやら、高級品みたいだ。

 '

「早い方がいいなら、次の休みに行ってくるわ。ちょうど、いつもお世話になってる薬師の人のお店に行こうと思ってたし」

 

「助かるわ、でも気をつけてね。」

 シリウス様にバレないようにという事は、婚約に関する必要な物なのだろう。


「あと、このアクセサリーなんだけど、ディアの為につくってみたの。髪留めなんだけど、お兄様の髪の色に似てるシルバーパールをつけたんだけど、どうかな?」 

 レティシアは、リーディアに髪飾りを手渡した。


 リーディアは髪飾りを眺める。確かにシリウスの髪の色にそっくりな飾りがついている。眺めるだけで、シリウスが思い浮かぶ。


「もらってもいいの?」

 リーディアはシリウスの色というだけで、顔が緩む。


「もちろん!ぜひ出かける時につけて、服と合わせてみて」

 レティシアは喜んで貰えて満足そうだ。


 リーディアは、早く休みにならないかなと思うのだった。

レティシアの笑みには、何やら思惑が含まれているのをリーディアは知るよしも無かった。

 


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