番外編 清水桜太
俺はずっと好きだった女、大橋咲彩と付き合うことになったと光翼に報告に行った。
「はぁ、桜太もずるいよね。」
「なんだよ。」
「いや、大橋と付き合いたいからって桜太自身が彼女役で俺とキスする振りをみせつけるとか。」
俺はお茶を吹き出す。光翼の“きたねっ”という声は無視する。
「いや、しょうがないだろ。好きな女が親友に告白するとかほっとけねえし。」
あの日俺は咲彩が光翼に告白するためにチョコを作るという話を聞いてしまった。正直焦った。卒業式で告白するのはもう決めてたことだったから。
「まあでも俺も大橋のことは好きだけど、桜太の想い人ってなると話は違うから、結果オーライだけど。」
「光翼、咲彩のこと好きなのか。」
「うん。かわいいじゃん。あの顔とか...。」
光翼は何かに気づいたようで訂正し始めた。
「もちろん恋愛の意味での好きじゃないから。どっちかというと妹みたいな。」
どうやら俺の顔全面に出ていたらしい。ま、しょうがない。そこまでするほど俺は咲彩が好きだから。
「なんでもいいよ。光翼に咲彩は会わせないから。」
「別になにもしないって。」
必死で訴える光翼はどことなく咲彩に似てるな。
「じゃあ、俺もう帰るわ。」
「もうか。」
「なんか光翼見てたら咲彩に会いたくなった。」
「くっそー、惚気かよ。リア充め、爆発しろ!」
「光翼も早くいい人見つけろよな。」
気の置けない親友に、愛する彼女、俺は幸せ者だ。
「ちょっ。桜太ニヤニヤしてどうしたの。気持ち悪い。」
「別に。咲彩がかわいいなって。」
「いきなりなに。恥ずかしいんだけど。」
タオルで顔を隠す姿も最高。俺はそっと頬に口づけ、耳元でささやく。
「俺には咲彩だけだから、一生。」
好きになったのは大嫌いなアイツ 紀伊航大 @key_koudai
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