第三十五の論争 メリークリスマス序

思い返せば少し前から商店街はLEDなどの取り付けをしていた。

彼女が何かふてくされたように尋ねる。

「どこにも行かないのー?」

「今日はクリスマスだよー?」

「…そっか、クリスマスって今日か…」

「もー…忘れてたの?」

「じゃあケーキもチキンもないんだねー?」

「また太るぞ?」

「もー…せっかくのクリスマスなのにー…」

「聖夜だよー?せ い や!! 」

「性夜もクソもねえっての…」

「そもそもキリストの…」

「お?討論と行くのー?じゃあ負けたらケーキ買って来てねー」

「じゃあ俺が勝ったらただの平日な」

彼はやる気のなさそうに答えるがどこか久々の討論を楽しんでいるようにも見られる。

「まず…そもそもキリストの生誕祭なんだからカップルがいちゃついてケーキ食ったりする日じゃないだろ?」

「でも今の日本人の大多数はそういう日って言う認識だよー?もともとなんかより今の流れを汲まなくちゃ」

「それに…サンタさんだって来てくれるんだからその準備もしなくちゃねー♪」

「あ…(察し)」

「私はもう枕元にほしいものの書かれた紙を置いておいたよー、君も忘れないようにねー♪」

「そう…だな…」

「そう…だったな…」

(コイツまだサンタのこと信じてんのかよ…めんどくさいな…)

「ちゃんと寝るときはタイツぶら下げとけよ?」

「忘れてないよー、君に教えてもらってからずーっと忘れずにしてるでしょー?」

「話を戻すが…そうやってキリスト圏の文化を曲解して日本の文化になってるってわけだ」

「だが俺は残念ながらそんなりっぱな信仰はしてないんでな」

「じゃあ初詣は?」

「そりゃもちろん行くさ」

「じゃあ結婚式は教会じゃないのー?」

「ああ!そうだぜ?寺であげるぜ?」

「へーそうなんだー(メモメモ)」

「…なんか外堀を埋められた気がするが…」

「気のせい気のせい…っとでもなんで君がそんなにクリスマスを目の敵にするの?」

「そういうのでクリスマス反対の立場にいる人って恋人とかいないいわゆるクリぼっちばかりだとおもうけど…」

「うるせーな…クリスマスでもバイトだったんだよ…それに恋人がいたらこんなの書いてねえっての…」

「・・・?なんのこと?」

「第三の壁だよ」

「ともかく…君としてもクリスマスを少しは意識してるんでしょ?」

「じゃあ平日ではないんじゃないのー?」

「あいあい…わかりましたよ…買えばいいんだろ買えば…」

「あー!今私のことめんどくさいと思って折れたでしょー…!」

「よくわかってんじゃねえか…」

「・・・だけどな」

「俺も少し楽しみにしてたんだぜ?聖夜なんだ…今日は一晩中付き合うぜ…?」

「・・・え?」

「え?」

「サンタさんが来るんだから早めに寝ないとー…プレゼントもらえないでしょ?」

「・・・そうだな!うん!死ね!」

「なんでそんなひどいこというの!!」

「うるせぇ!せっかく俺がデレてやったのにバカみたいじゃないか!」

「バーカ!!バーカ!!」

「うるさい!そっちこそー!!」

この彼氏にしてこの彼女アリと言ったところだろう。



こんなのをクリスマスに読んでるあんたも大概かなしいぞ

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