いきる

第1話 気づき

ぼくには兄がいる。勉強は得意だけど運動が苦手で、優しいけどぼくとよく喧嘩をする２つ上の兄だ。

ぼくは勉強は苦手だけど運動はちょっとだけできる、友好関係は適度に広く浅くな特に取り柄もない人だ。平凡以下のぼくだけど、正義感だけは、強くて真っ直ぐな人間だと胸を張って言える。

でも、あるときぼくは気づいてしまった。

正しいだけが正義じゃない、素直だけがいいわけじゃない、と。

ほら、小さいときって正しい人が煙たがれる風潮があるでしょ。出る杭は打たれるってね。まさにそれ。ぼくは小学校でも正しく、素直にいた。授業では積極的に手を挙げて発言をしたし、ルールもきちんと守ってた。周りからどう思われてるかなんて何も知らずに。先生から「自由に班決めしてください」って言われて初めて自分の立場を知った。