遺書私説暴論の正法眼蔵

第371話 即心是仏その二十二 毎日続けること

　「しかあるを、長劫（ぢょうごう）に修行作仏（さぶつ）するは即心是仏にあらずといふは、即心是仏をいまだ見ざるなり、いまだしらざるなり、いまだ学せざるなり。即心是仏を開演する正師を見ざるなり。」

　そういうことであるのに、長い期間ずっと修行（坐禅）し仏であり続けることは、即心是仏ではないなどと言うのは、即心是仏をいまだ見たことがなく、いまだ知らず、いまだに学んでいないのである。即心是仏を現実に実践して説いている正しい師を見ていないのである。

　今のこの自分の心がそのまま仏であるというように即心是仏を考えるのは間違いだ。毎日ずっと坐禅しながら仏教を学び続けなければいけない。

　坐禅した瞬間に仏となる。しかし仏となったからお終いではない。毎日毎日坐禅し続けなければいけない。仏の状態を維持し向上させるために毎日坐禅しなければいけない。正法眼蔵に「仏向上事（ぶつこうじょうじ）」という巻がある。毎日坐禅し続けて向上していかなければいけない。

　世の中には「悟った」などと称する詐欺師まがいの人間がいるが、悟りというような最終到達点がある訳ではない。毎日坐禅して真実・真理と一体となった状態すなわち仏の状態を維持し向上し続けなければいけないのだ。即心是仏の状態を維持し向上させなければいけないのだ。